2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J01327
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 智輝 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リグヴェーダ / 河川 / スィンドゥ / ナディー / サムゥドラ / ヴェーダ文献学 / インド・アーリヤ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,古インド・アーリヤ語最古の文献であるリグヴェーダ(紀元前1200年頃に編集されたものと推定)において,河川がいかなる存在に位置付けられるのかを,文献学的手法に基づき解明することである。本年度は「1.河川に関連する一般名詞」,「2.スィンドゥ」,「3.サムゥドラ(水の集合)」について研究を行った。本報告書では1及び2について概要を報告する。 1.河川に関連する一般名詞:スルティ「道,河川」,アヴァニ「河床,河川」に関する用例からは,季節や地勢によって水量が変わる河川の姿を読み取ることができる。それに対し,ナディー「河川」は,諸々の河川の中でも特に「豊富な水量を有する河川」として明確に描かれる。その河岸部は理想的な生活の場と見なされ,移動生活を続けてきた往時のインド・アーリヤ人達にとっての,「移動の終着点」或いは「最初の定住地」としても強く意識される。 2.スィンドゥ:リグヴェーダに登場する河川に関わる語の中で,群を抜く用例数を有するスィンドゥは,河川名「スィンドゥ(恐らくインダス川)」や,「河川,水流」を意味する一般名詞として,単数,両数,複数全ての形で,且つ男性,女性双方の形で,様々な文脈に用いられる。スィンドゥについては,先に提示したナディーとは大きく異なる特徴として,「渡り越える対象」として頻繁に描かれる点が挙げられる。この事実は,移動期に出会い,渡り越えてきた数々の河川,即ち「通過点としての河川」のイメージが,スィンドゥには強く反映されている可能性を示唆する。 1,2の研究からは,半遊牧・移動生活を送っていた時代の記憶が色濃く反映された文献であるリグヴェーダに特徴的な河川観が浮き彫りになった。これらの研究の成果については日本印度学仏教学会第 65 回学術大会にて発表を行い,印度學仏教學研究第 63 巻第3号に研究論文を投稿した。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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