2013 Fiscal Year Annual Research Report
アンサンブルカルマンフィルタ等データ同化手法の基礎的及び応用的研究
Project/Area Number |
12J01335
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
近藤 圭一 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | データ同化 / アンサンブルカルマンフィルタ / 局所化 / マルチスケール / 大アンサンブルデータ同化 |
Research Abstract |
本研究は、大気の流れを考慮した高度なデータ同化手法であるアンサンブルカルマンフィルタを将来の高解像度モデルに適用することを目的に、マルチスケールを考慮したデータ同化手法を考案・開発し、従来手法と比較することでその有用性を検証した。 従来手法では、数十メンバー程度の限られたアンサンブルメンバー数に起因するサンプリングエラーを抑えるために、観測の影響範囲を限定する局所化と呼ばれる技術を適用している。しかしながら、モデルが高解像度になるにつれ局所化のスケールは小さくせざるを得ず、遠方の重要な観測を同化できないため局所化スケールより大きなスケールの誤差を修正することができない。そこで本研究では、観測による修正量を低波数成分と高波数成分に分けて、それぞれ異なる局所化スケールを用いて解析を行う。低波数成分では、アンサンブル予報摂動を平滑化することでサンプリング誤差を低減し、より大きな局所化を施すことでより遠くの観測が同化可能となる。高波数成分では、高解像度の摂動をそのまま用いる。これにより、遠方の観測を効果的に同化するとともに、観測近傍の詳細な現象を把握することが可能となる。 その結果、Dual-Localization法は従来手法と比較して、すべてのモデル変数・ほぼすべての領域において解析誤差が大幅に改善し、領域によっては20%以上も改善することが確認された。さらに、2つの局所化スケールの組合せによる改善度合いの感度はそれほど大きくなく、それぞれ400㎞程度の幅を持って解析誤差を良好に改善した。これはほかのモデルを使用しても、局所化スケールには敏感ではないことを示している。さらに3200メンバーにもおよぶ大アンサンブルデータ同化実験を行い、Dual-Localization法は少ないアンサンブルメンバー数にもかかわらず、従来手法よりも3200メンバーによるデータ同化の結果に近いことを確認し、Dual-Locaiization法の有用性を裏付けることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(11 results)