2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J01352
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 恒也 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | トポロジカル絶縁体 / 電子相関効果 / 動的平均場理論 |
Research Abstract |
スピン軌道相互作用が本質的な役割をする物質としてトポロジカル絶縁体が挙げられる。従来、トポロジカル絶縁体は半導体において実現する事が報告されていたが、最近Ir酸化物等の5d遷移金属化合物や、4f電子系といった重い電子系化合物においてもその発現が提案されている。具体的には、Na2IrO3やSmB6等が挙げられる。このような化合物においてはトポロジカルに非自明な構造と電子相関効果が絡み合った新奇物性を発現する事が期待され、 「トポロジカル絶縁体における電子相関効果」の解明が急務となっている。今年度は特に「長距離秩序がもたらすトポロジカル相」に焦点を当て研究を行った。具体的には、(i)反強磁性絶縁相内におけるトポロジカル相(iD強磁性金属相内におけるトポロジカル相の各相における電子相関効果を解析した。 まず、(i)「反強磁性絶縁相内におけるトポロジカル相」の研究に関しては、近年反強磁性相内でのトポロジカルに非自明な相の発現が一体問題の枠組みで提案されている。本研究ではこの相における電子相関効果を解析した。反強磁性相におけるクーロン相互作用の効果として自発磁化の増大に起因するHartree shiftがトポロジカルに非自明な構造を変え、非自明相から自明な相へと転移を起こすことが挙げられる。そこではバンドの繰りこみを通して電子相関効果はHartree shiftを抑制し、トポロジカルに非自明な構造を安定化させる寄与をすることが明らかとなった。また、(iD「強磁性金属相内におけるトポロジカル相」の解析は近年その発現が実験理論両方から指摘されているトポロジカル近藤絶縁体に刺激され、研究を開始した。解析の結果、トポロジカルに非自明な相が強磁性金属相内において発現する事を見出し、またそこでは近藤効果とRKKY相互作用が協力し、この相におけるbulk gapが近藤温度程度と小さい事にも関わらず、広いパラメータ領域において発現する事を指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のようにトポロジカル絶縁体における強相関効果について解析を行い局所電子相関効果が及ぼす効果を解明した。つまり、反強磁性トポロジカル絶縁相がバンドの繰りこみによって安定化する事やRKKY相互作用、近藤効果に起因してトポロジカル絶縁相が強磁性金属相内に発現する事を見出した。一方で、空間的な電子相関効果に関しては未解決の問題があり、例えば空間的な電子相関効果によって非自明なトポロジーを発現する事が平均場近似では提案されているが、数値的には明らかになっておらず、今後の課題である。さらにlong range entangled phaseの研究にも取り組みたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
トポロジカルに非自明な構造を持つ相の発現はスピン系でもその発現が提案されている。しかし、電荷自由度を持つトポロジカル相とどのようにつながるかについては明らかになっていない点が多い。具体的には電荷自由度を持つKitaev mdelやHaldane phaseの解析を計画している。なお、Haldane phaseに関しては解析をすでに始めている。また、上述の研究を二次元系に拡張するためにクラスター動的平均場理論や、厳密対角化などの手法を活用して取り組むことを考えている。
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Research Products
(6 results)