2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J01360
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米田 友貴 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 環拡張ポルフィリン / ヘキサフィリン / 集積化 / パラジウム(II)錯体 / 位置選択的反応 / 転位反応 |
Research Abstract |
これまで未開拓分野であったヘキサフィリンの多量化を志向した周辺修飾反応として、[26]ヘキサフィリンパラジウム錯体に対する求核付加反応による官能基導入を試みた。過去のボスフィンの付加反応を応用したハロゲンイオンによる求核付加反応を発見し、これによって1つのベータ位が選択的にブロモ化されたメビウス構造を有する[28]ヘキサフィリンパラジウム錯体の合成に成功した。さらにその置換基に対して、パラジウム触媒を用いたStilleカッップリングを行うことで、エチニル基を介しての種々の置換基の導入に成功し、共役の伸長を確認した。また、[26]ヘキサフィリンパラジウム単核錯体に対するさらなるパラジウム錯化を行い、[26]ヘキサフィリンパラジウム二核錯体の合成に成功した。このパラジウム二核錯体は、平面長方形構造を有しており集積化に適しているのみでなく、2つの反転ピロール上のNHを伴った、新しい26π共役系を有している。これらの反転ピロール上のNHは容易に脱プロトン化が可能であり、この脱プロトン化体に対してヨウ化メチルを作用させることで、通常とは異なったインナーβ位選択的なメチル化を行うことに成功した。また、ヘキサフィリンのメゾアリール基にアルキル鎖を導入したヘキサフィリンを多種合成し、その物性の評価を試みた。現段階ではこれらの置換基での液晶相の発現させることには成功していないが、さらなる異なった置換基の導入、及び集積化の新手法の開拓を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
多量化を志向した環拡張ポルフィリンの位置選択的なハロゲン化に初めて成功し、これによって、さらなる多量化が可能となった。またそれだけでなく、環拡張ポルフィリンのパラジウム2核錯体の合成にも成功し、この2核錯体は集積化を目指すのに適した長方形型構造を有しているのみならず、特殊な共役系、および脱プロトン化による反応性を有していることを見出した。予想外の反応・性質が見つかっており、これらは当初の想定を越える結果である。
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Strategy for Future Research Activity |
ハロゲン化を行ったヘキサフィリンに体する多量化、およびパラジウム二核錯体を利用したさらなる反応性の追究を試みる。また、アルキル鎖の導入による液晶性の発現は、さらなる置換基の工夫を行い、集積化を可能にすることを試みたい。 また、その過程で興味深い反応や現象を見つけることができれば、方針を柔軟に変更して、それらについても研究を進めて行く予定である。
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Research Products
(7 results)