2012 Fiscal Year Annual Research Report
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12J01404
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
橋口 拓勇 宮崎大学, 農学工学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 硫酸転移酵素 / シロイヌナズナ / フラボノイド |
Research Abstract |
硫酸転移酵素(SULT)は薬物の解毒代謝や内因性ホルモンの濃度調節など様々な生理機能に関与する。本年度はシロイヌナズナの硫酸転移酵素(AtSULT)のクローニングならびに、基質特異性等の諸性質の生化学的解析を行った。その結果、18種類(1つは偽遺伝子)のうち、13種類のAtSULTsのクローニングに成功し、そのうち、9種類について大腸菌によるGST融合タンパク質発現系を構築し、精製酵素を得ることができた。生化学的諸性質の解析については、主に基質特異性について検討を行った。二次代謝産物であるフラボノイド類をはじめ、植物ホルモンなど約50種類の化合物を基質候補にリコンビナント酵素を用いて硫酸化反応を行った。その結果、フラボノイドは複数のAtSULT分子種によって硫酸化された。これまで、シロイヌナズナでは1種類のSULTがフラボノイドの硫酸化に関与することが知られていたが、今回の発見で、シロイヌナズナでも複数のSULTにより積極的にフラボノイドの硫酸化が行われていることが示唆された。また、フラボノイドの水酸基の位置を特異的に認識し、硫酸化するSULTの存在も示唆された。 さらに、アグリコンと比較して、ケンフェロールやケルセチンなどの配糖体に高い親和性を示すSULT分子種が見出された。フラボノイドは通常植物体内で配糖体として存在していることから、極めて合理的であるといえる。以上のことから、シロイヌナズナSULTは植物体内で、生理活性物質の代謝や活性調節を担う重要な酵素としての可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試行錯誤したものの、当初予定した分子種数まで研究が及ばなかったものの、数種類の分子種については、生化学的解析まで行うことができたので、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
未だクローニング、酵素発現系の構築ができていない分子種については、引き続き研究を行う。また基質特異性の明らかにできなかったAtSULT分子種については、従来考えられていた受容体基質の枠を超えて、様々な構造をもつ低分子化合物について活性の評価を行う必要があると考える。
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Research Products
(2 results)