2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J01437
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石綿 友樹 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | インクジェット / 表面張力 / 界面活性剤 |
Research Abstract |
インクジェットを用いて微細構造体を形成していくうえで,液体に含まれている界面活性剤がどのような時間スケールで表面に吸着されていくかを調べる必要がある.研究実施計画においては光散乱を用いて観察する手法を提案したが,より容易でかつ応用性に富む方法として,液滴の固有振動を用いて観察する手法を開発した.液滴に振動を誘起させる手法として電場と分極の相互作用を用いた.液滴に対して一様電場を印加すると電場のエネルギーを下げるため,電場方向に液滴は引き伸ばされる.そして変形後に電場を切ると,液滴は表面張力を復元力として振動を行う-このときの振動周波数は表面張力に依存するため,振動周波数の時間変化を測定することによって表面状態の時間変化を追うことが可能である.本方法では,界面活性剤の動的表面張力を1ms以下の領域を測定することができ,微細構造体を形成する本研究のみならず,一般的な洗剤の開発のほかインクジェットプリンタのインクの評価等にも用いることが可能である.本手法を用いて蒸留水およびアルキル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤溶液の表面張力を測定した.蒸留水では文献値と4%の誤差の範囲内で一致しており,本測定法の妥当性が示された-また,界面活性剤溶液の測定結果を動的表面張力の一般的な測定法である最大泡圧法と比較したところおよそ2mN程度の差が見られたがこれは最大泡圧法が表面張力を高めに見積もってしまう傾向があることから来ていると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り表面状態を観察する手法を開発できた.この手法は既存の測定手法と比較しても妥当なものであり,また1ms以下の非常に短い時間領域の表面張力が測定できるようになった.
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Strategy for Future Research Activity |
微小な構造体としてリン脂質を用いたマイクロカプセルの合成を行う.そのための予備実験として,前年度に研究した表面状態の観察法を用いて溶媒の乾燥時間,リン脂質の表面吸着時間などを計測し実際に合成が可能な条件を探る.具体的には溶媒の種類,リン脂質の種類,リン脂質濃度などの条件を変えて実験を行う.重要なパラメーターはカプセル化するのに必要な濃度の際の溶媒の乾燥時間であると考えられる.
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Research Products
(5 results)