2013 Fiscal Year Annual Research Report
多能性の基本的原理に迫る -鳥類、爬虫類を通して見る多能性の分子機構-
Project/Area Number |
12J01443
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中能 祥太 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 多能性 / STAT / Nanog / PouV |
Research Abstract |
鳥類・爬虫類初期胚において多能性を与える分子メカニズムを明らかにすることが本研究の最終目標である。2年目となる平成25年度においては、多能性を正に制御する機構に注目して研究を進めてきた。前年度に明らかとなった、負の制御機構が働き始める発生ステージをもとに、それ以前で優勢となっている因子をランキングすることで、JAK/STATシグナルがニワトリ多能性の正の制御機構である可能性が強く示唆された。これは、マウスのES細胞と同じ機構がニワトリ初期胚でも働いていること、すなわち種間で保存されていることを示す興味深い結果である。このことをタンパクレベルで確認するため、抗体染色等を行った。技術的に難しい部分があり、難航したが、ニワトリ初期胚を扱う研究室にアドバイスをもらいながら手技を見直し、クリアな結果が出始めるところまできた。 また、哺乳類の多能性のメインプレイヤーだと考えられている多能性転写因子について、これまでニワトリの相同タンパクに対して反応する抗体は市販されていなかった。そこで、NanogやPouVといったタンパクに対して、抗体の作成を受託し、ウエスタンブロッティングや抗体染色に使えるクオリティの高い抗体を得ることができた。これらの抗体を使って、ニワトリ多能性の検証が可能になることが期待される。また、これらのタンパクを解析できることは他の分野においても役立つため、既に他の研究室から譲渡の依頼等も受けている。当該年度はこのための予算(「その他」)を多く使ったが、それに見合う成果が今後得られることを見込んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
技術面での難しさから、一時手間取っていたが、現在は問題を解決し、仮説をサポートするデータが出始めている。また、時間と予算をかけた抗体が、高いクオリティで精製できたので、これを使った今後の研究の進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、網羅的解析から得られた正の制御因子の候補が、本当に初期胚で特異的に活性しているのか、その機能は何なのか、といったことをin vivoの解析によってしっかりと示していく。その上で、シグナル経路を、分化ポテンシャル、細胞周期と結びつけることで、新たな展望が得られることを期待する。
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Research Products
(3 results)