2013 Fiscal Year Annual Research Report
可視光偏光観測による活動銀河核ジェットの加速・収束機構の解明
Project/Area Number |
12J01447
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
笹田 真人 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | ジェット / 偏光 / 多波長 / 変動 |
Research Abstract |
私が研究しているブレーザーは活動銀河核(AGN)の一種である。AGNの中にはジェットと呼ばれる相対論的なプラズマを噴出する天体もおり、このジェットを真正面に受けて観測している天体をブレーザーと呼ぶ。ブレーザーはジェットの相対論的効果によってジェットからの放射が卓越する。ジェットからのシンクロトロン放射は原理的に磁場に対して垂直な方向に偏光し、偏光を検出することで磁場の情報を直接得ることができる。ブレーザーの大きな特徴に光度、偏光の変動が挙げられ、この変動はジェット内での放射領域の状態を表しており、光度と偏光の変動からジェット構造を調べる。研究に使用したかなた望遠鏡は、観測の柔軟性からモニター観測に有利であり、さらに偏光観測装置を搭載した望遠鏡であるため、ブレーザーのモニター観測に適した望遠鏡である。私はブレーザー45天体の多色偏光モニター観測を実施し、ブレーザーの光度、偏光の挙動をモニターした。ブレーザーは突発的に増光するフレアを発生させる場合がある。私はこのフレアを可視偏光観測により検出し、そのときの偏光の挙動を調べた。すると大振幅のフレア時に偏光の強さが急激に高くなることを発見した。これによりジェット内で衝撃波が発生することにより光度が上昇し、衝撃波によって磁場が圧縮されることによって磁場が一様となり偏光が高くなることを示すことができた。私はこの結果を投稿査読論文として発表し、すでに出版されている。さらにジェットの終端にあるホットスポットを電波、近赤外そして可視光という多波長での偏光観測、解析を行った。その結果ホットスポットからの偏光は電波から可視まで同一であり、波長依存性はないということがわかった。これによりホットスポット内の衝撃波による磁場の構造は一様であり、さらにエネルギーとそれによる冷却時間の違う各電子の分布も等しいことがわかった。それにより粒子加速された電子のほとんどは衝撃波加速領城にとどまっているということを示唆している。この結果は広島で行われた国際研究会において口頭講演にて発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでジェット内の構造を可視光偏光モニター観測によって研究した。偏光観測から磁場情報を引き出し、ジェット内の磁場構造を探った。ジェット天体の3C 454.3のアウトバーストに伴う偏光の挙動からジェット内の光度上昇と偏光の関係性にっいて示唆した。さらに衝撃波領域の偏光観測から、ジェット衝撃波により磁場が圧縮されほぼ一様に分布することを発見した。
|
Strategy for Future Research Activity |
数日以上のタイムスケールの変動についてよく観測的な特徴を示すことができてきた。そのため、次年度では数時間スケールの短時間変動の起源にっいて研究する。特にKepler衛星によって得られた1分の時間分解能のブレーザーの光度曲線を詳細に解析することで、数時間スケールの変動の典型的な変動プロファイルを調べ、そのプロファイルからどのような物理機構で変動が発生しているかを明らかにする。
|
Research Products
(9 results)