2014 Fiscal Year Annual Research Report
有明海における精緻な海域・流域データを用いた栄養塩統合管理に関する研究
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12J01526
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田畑 俊範 九州大学, 生物資源環境科学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 数値モデル / 有明海 / 水環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,有明海において様々な環境異変が問題となり,有明海における海域の水環境保全および持続的な漁業生産に向けた現状把握と対策提言が必要となっている.そこで,本研究では,数理モデルの開発とそれに基づくシナリオ分析により,海域の水環境保全および持続的な漁業生産に向けた提言を行った. 有明海の海域水環境保全に資することを目的として,沿岸各県が行っている調査データを用いて主成分分析により海域の特徴抽出を行った.その結果,河川から流入する栄養塩および反時計回りの潮汐残差流という2つの事象がこの海域環境を形成している重要な要因であるということが示された.次に,マルチボックス生態系モデルを用いて,この2つの事象に関するシナリオ分析を行った.その結果,河川からの流入負荷量が削減された場合,CODの削減に多大な効果があり,大幅な水質の改善が期待できることが予測できた.また,潮汐残差流が減少した際に,河川からの流入負荷が河口付近に滞留するために,筑後川を中心とした複数の河川が存在する湾奥部で,水質環境が悪化する可能性が示唆された. 次に,持続的な漁業生産に資することを目的として,ノリ養殖施設の最適配置およびタイラギ資源回復に向けた底質環境の改善について2次元単層モデルを用いて,提言を行った.ノリ養殖の生産の安定化を目指し,ノリ養殖施設の配置密度を低減させるシナリオ分析を行った.その結果,設定したシナリオ内でノリ網の1小間4列張りへの変更がノリの窒素同化量を一番増加させる配置方法であることが示された.そして,タイラギの浮遊幼生は有明海湾奥部における反時計回りの潮汐残差流の影響を受けることが分かった.そのため,湾奥北東部および諫早湾湾口部における海底の底質環境の改善を行った場合に,タイラギの浮遊幼生の生息可能領域への着底の確率が増加し,多くのタイラギが成長する可能性が上がることが示唆された.
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)