2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J01560
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小佐見 謙一 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 耐病性 / small GTPase / OsRac1 / R蛋白質 / X線結晶構造解析 / 核磁気共鳴法 / 構造生物学 |
Research Abstract |
イネの病気に対する抵抗性反応を誘導する分子機構の理解」は、作物が持っている病気に対する耐病性機能の強化、病害の軽減、作物の収量の増加に繋がる。そこで本研究ではイネの病気に対する抵抗性反応を誘導するメカニズムの解明する事を目的にしている。" 本研究では(i)イネの病気に対する抵抗性反応を制御していると考えられる蛋白質の立体構造決定(ii)蛋白質・蛋白質相互作用の解析をX線結晶構造解析やNMR、生化学的な手法を用いて行う。 平成24年度の実施状況は以下の通り。(i)イネの抵抗性反応の分子スイッチとして働くと考えられるOsRaclの結晶構造の精密化を行った。最終的にGTP型OsRac1の三次元構造を1.9Åの分解能で決定した。また、イネのR蛋白質であるPitのNBS-ARCドメインの立体構造をX線結晶構造解法を用いて決定する為、pCold-GSTシステムを用いて、Pitの大鼠発現系を構築した。(ii)ではイネの活性酸素を産生するNADPHオキシダーゼであるOsRbohBとの相互作用実験を行った。相互作用実験を行う為、得られているOsRac1の結晶構造情報に基づき、NADPHオキシダーゼOsRbohBとの相互作用に関わると考えられるアミノ酸残基を同定し、それらの同定したアミノ酸残基に変異を導入した。大腸菌大量発現系を用いてそれらのOsRacl変異体とNADPHオキシダーゼOsRbohBの発現・精製する事に成功した。相互作用実験より、DsRac1変異体のいくつかでOsRbohBとの相互作用が弱まる事を観察する事に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、イネの抵抗性反応の分子スイッチとして働くOsRac1(活性型)の結晶構造解析を完了させるだけでなく、そのin vitroでの機能解析も完了させるなど、精力的な研究により期待以上の進展があった。しかし、イネのR蛋白質であるPitのNBS-ARCドメインについては、発現系の構築には成功しているものの、蛋白質の精製や結晶化において、ほとんど進捗がなかった。そこで、OsRac1に関する論文執筆に注力することとし、結晶化に関する論文執筆をほぼ完成させた。結晶構造やNMR、変異体を用いた機能解析などをまとめた構造解析に関する論文についても初稿をほぼ完成させた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策について、まず、結晶構造やNMR、変異体を用いた機能解析などをまとめた構造解析に関する論文執筆に注力する。現在、OsRaclと相互作用を行うOsRbohBとの相互作用解析はすでに完了しており、初稿をほぼ完成させている。また、さらに詳細なOsRac1が誘導するイネにおける病害抵抗性メカニズムの解明する為に、OsRac1とそれに関わる蛋白質群(Defensome)の相互作用解析を行い、OsRac1とDefensomeとの関係を明らかにしていきたい。その為に、Defensomeを構成する蛋白質の発現系の構築および蛋白質の精製を行い、相互作用解析を行っていく予定である。
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Research Products
(2 results)