2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J01560
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小佐見 謙一 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 耐病性 / small GTPase / OsRac1 / R蛋白質 / X線結晶構造解析 / 核磁気共鳴法 / 構造生物学 |
Research Abstract |
「イネの病気に対する抵抗性反応を誘導する分子機構の理解」は、作物が持っている病気に対する耐病性機能の強化、病害の軽減、作物の収量の増加に繋がる。そこで本研究ではイネの病気に対する低抗性反応を誘導するメカニズムの解明する事を目的にしている。 本研究では昨年度に引き続き(i)イネの病気に対する抵抗性反応を制御していると考えられる蛋白質の立体構造決定(ii)蛋白質・蛋白質相互作用の解析をx線結晶構造解析やNMR、生化学的な手法を用いて行った。 平成25年度の実施状況は以下の通り。(i)のOsRac1の結晶化に関する論文を完成させ、発表した。また、(ii)では昨年度に得られたOsRac1とイネの活性酸素を産生するNADPHオキシダーゼであるOsRbohBとの相互作用実験の結果と(i)で得られたOsRac1の結晶構造決定の結果を合わせて、論文を執筆し、投稿した。 また、これまでの研究からR蛋白質の一つであるMLA10のCCドメインのdimer形成がR蛋白質による抵抗性反応の誘導に重要であることが報告されている(Cell Host Microbe 9 : 187-199, 2010)。そこでイネのR蛋白質であるPitのCCドメインもMLA10と同様にdimerを形成するかを生化学的な実験を用いて確認した。実験を行う為に、まずPitのCCドメインの発現系の構築を行い、大腸菌を用いて大量に発現する系の構築に成功した。さらに、蛋白質の精製にも成功し、PitのCCドメインがdimerを形成する事を確認した。 さらに奈良先端科学技術大学院大学の植物遺伝学研究室において、OsRac1と相互作用する蛋白質の候補としてglyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase (GAPDH)が同定された。そこでGAPDHがOsRac1と相互作用するかを確認する為、GAPDHの大腸菌での大量発現系の構築を行い、高純度で精製することに成功した。加えて、GSTを用いたpull-dawn assayの結果、OsRac1がGAPDHと相互作用する事を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DsRac1に関する成果は、結晶化に関する論文の発表、および、結晶構造解析の論文の投稿であり、概ね期待通りの成果が得られている。Pitに関する成果としては、PitのCCドメインがdimerを形成する事を明らかにしている。Pitの構造研究では大きな進展が無かったものの、機能研究においては期待以上の成果が得られている。さらに、奈良先端科学技術大学院大学において様々な植物実験の技術を身に付けるとともに、OsRac1とGAPDHとの直接的な相互作用を明らかにするなど、国内留学の成果も着々と得られており、部分的には期待以上の研究の進展があったと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
OsRac1と相互作用を行うOsRbohBとの相互作用解析はすでに完了しており、初稿をほぼ完成させている。現在、さらに詳細なOsRac1が誘導するイネにおける病害抵抗性メカニズムの解明する為に、OsRac1とそれに関わる蛋白質群(Defensome)の相互作用解析を行い、OsRac1とDefensomeとの関係を明らかにしたい。その為に、Defensomeを構成する蛋白質の発現系の構築および蛋白質の精製を行っている。今後はそれらの蛋白質とOsRac1との相互作用解析を行っていく予定である。また、OsRac1とGAPDHとの直接的な相互作用が明らかになったが、その機能的な役割は未だ不明である。そこでOsRac1とGAPDHの病害抵抗性メカニズムにおける役割を明らかにしていく。
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Research Products
(1 results)