2012 Fiscal Year Annual Research Report
複合応力状態における免震積層ゴムの終局挙動解析法に関する研究
Project/Area Number |
12J01584
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石井 建 北海道大学, 大学院・工学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 免震 / 積層ゴム / 力学モデル / 座屈 / 変動軸力 / 水平二方向 / ロッキング |
Research Abstract |
本研究では、複合応力下における免震積層ゴムの力学挙動解析法を開発する。これは、免震建物の水平二方向応答特性や大変形時の軸力変動によって生じる免震積層ゴムの座屈特性の変化などを精緻に再現することで、多方向から地震入力を受ける免震建物の応答特性をより正確に把握しようとするものである。本年度は、主として下記の3点について取り組んだ。 1免震装置のモデル化 免震積層ゴムおよび弾性すべり支承の力学モデルを発展させた。特に、水平方向と鉛直方向の連成効果を考慮することで、水平方向特性に鉛直軸力が与える影響を反映させた。加力試験のシミュレーション解析により、各種の免震装置の水平一方向・二方向特性を再現し、力学モデルの妥当性を確認した。 2水平二方向試験方法の標準化 免震装置の水平二方向加力試験は、装置の限界性能を決定するうえで重要であり、今後ますます多くの試験が行われるようになると考えられる。しかし、従来行われてきた水平二方向試験は、試験条件の設定基準の根拠がやや不明確である。本研究では、水平二方向試験を行う際の基準として、位相差を与えた正弦波を水平二方向に与える手法を考案した。この手法の特徴を検討し、一方向入力と二方向入力で同程度の負荷を与える試験条件を作成できた。 3免震建物の地震応答解析 免震建物の数値計算モデルを作成し、応答特性の基礎的検討として、数パターンの定常応答解析および地震応答解析を行った。定常応答解析には、周期ごとに振幅を調整した正弦波を使用した。地震応答解析には、最大地動速度を25~75cm/sに拡幅した地震動を使用した。この検討範囲において、積層ゴムを用いた免震建物のロッキング挙動を含む地震応答では、免震装置の座屈特性により、鉛直軸力の変動幅が大きくなりにくいことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、免震装置および免震建物のモデル化を行い、基礎的なデータを取得するための地震応答解析も行うことができた。基礎検討として実施した地震応答解析の検討ケースを充実させることで、本年度の研究内容を発展させ、より一般的な結論を得ることができるものと考えられる。以上より、本研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、免震装置の力学特性を表現するモデルの構築に関してさらに詳細に検討する。なかでも、積層ゴムの曲げ特性を正確に表現する手法は、座屈特性の再現に関して肝要となる部分である。また、免震装置のモデル・免震建物上部構造のモデル・入力地震動をそれぞれ充実させ、多様な免震建物について地震応答特性を把握する。特に、長周期成分を含む地震動に対する応答特性は、免震構造の安全性を検証するうえで重要である。これらに関する研究内容をまとめ、論文の投稿・発表により成果発表を行う。
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Research Products
(6 results)