2013 Fiscal Year Annual Research Report
寡占市場における産業政策および競争政策に関する理論的研究
Project/Area Number |
12J01593
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮岡 暁 大阪大学, 経済学研究科, 特別研究頁(DC2)
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Keywords | 廉価販売 / 廉売規制 / 関係特殊的投資 / 技術移転 |
Research Abstract |
①小売店による廉価販売と廉売規制の効果に関する研究(松島法明氏との共同研究) 本研究では、小売店に対する廉売規制が市場に与える効果について分析を行い、廉売規制の導入によって財の卸売価格および小売価格が低下し、消費者の厚生が改善する可能性があることを明らかにした。廉売規制に関する政策的な議論においては、廉売規制が小売価格を上昇させて消費者の厚生を低下させる可能性が強く懸念されているが、本研究ではこれとは逆の可能性が起こり得ることを理論的に示した。 ②関係特殊的投資の参入阻止効果に関する研究(北村紘氏・佐藤美里氏との共同研究) 川上・川下企業間での関係特殊的投資は、当該企業間での取引の効率性を高める一方で、川下企業の操業形態を現行の取引相手との取引にのみ適したものにしてしまうことで、川下企業が後になって取引相手を変更する際に大きな費用を発生させてしまう可能性が指摘されている。本研究では、既存の川上企業がこのような投資契約を通じて、効率的な新規企業の参入を阻止する可能性があることを明らかにした。近年、明示的な排他条項を含まない契約による参入阻止の可能性に注目が集まっており、本研究もこの研究の流れに属するものである。 ③企業間での技術移転に関する研究本研究 本研究では、企業間の水平合併が当該企業の持つ特許技術のライセンス供与インセンティブに与える影響について分析を行ったが、残念ながら目新しい結果を得ることができなかった。そこで分析の内容を変更し、産業政策の観点から重要である環境税(排出税)が企業間の環境技術移転に与える影響について分析を行った。分析の結果、排出税率の上昇が企業間の環境技術移転を阻害し、市場全体の汚染排出量をかえって増加させてしまう可能性があることを明らかにした。この結果は、排出税が環境技術の普及に対して負の効果を与える可能性があることを示している。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(2 results)