2012 Fiscal Year Annual Research Report
偽遺伝子挿入による種特異的非コードRNA獲得に基づく哺乳類エピゲノム進化
Project/Area Number |
12J01645
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上坂 将弘 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Epigenetics / Non-coding RNA / Biodiversity / Transcriptional regulation |
Research Abstract |
本課題では、霊長類特異的な挿入配列由来の機能的非コードRNA(ncRNA)を介したエビジェネティック制御の解明とその普遍性の検証を目的としている。今年度は、生物種特異的な転写領域の網羅取得とncRNA発現を指標としたシスエレメントの同定において大きな進展が見られた。 チンパンジーとマウスのゲノム比較から、各生物種特異的挿入配列をプロモーター領域に持つ遺伝子数を概算した。その結果、チンパンジー特異的挿入配列をプロモーター領域に持つ遺伝子数は3,118個、マウス特異的なものは3,962個だった。この結果とdirectional RNA-seqを統合した解析から、チンパンジーは21.2%、マウスでは25,5%のプロモーター領域に存在する挿入配列からアンチセンス方向に転写されるncRNA(pancRNA)が存在することが分かった。pancRNAとmRNAの転写領域を調べたところ、タンパクコード遺伝子の転写開始点近傍では、pancRNAのアンチセンス転写とmRNAのセンス転写を明確に分ける境界点が数千存在すること、そのような境界点の9割以上はCpG islandと重なり、CCGリピートとCGGリビートが近傍の転写開始点上流と下流に有意に高く存在すること、を明らかにした。チンパンジーでもマウスでも同様の結果が得られたことから、哺乳類で保存された共通制御が存在していることが示唆された。 また、組織特異的pancRNAを持つ遺伝子はpancRNAの発現量と相関した発現を示すのに対し、ハウスキービング遺伝子には概してpancRNAをプロモーター領域に持っていなかった。以上のことから、pancRNAを介した共通原理の下で、動物種毎に異なる遺伝子スイッチ修飾が偽遺伝子挿入により生み出されていることが示唆された。現在、これらの結果を論文にまとめており、近日中に投稿する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題を構成する[1]配列特異的DNA脱メチル化反応のメカニズムの解明、[2]RNA発現を指標とした生物種特異的な転写領域の網羅取得/機能解明、[3]遺伝子操作技術を活用した脳の多様化の実現、の3つの項目において、当初の予定通り研究が進んでいるため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は特に、偽遺伝子挿入由来非コードRNAによる配列特異的DNA脱メチル化反応のメカニズムの解明に力を入れる.このDNA脱メチル化反応に関わるトランス因子の1つとしてMBD4を既に同定しているが、他のトランス因子を同定するため、細胞株を用いた強制発現系を進める.また前年度で既に、挿入配列をレポーター遺伝子のプロモーター領域に持つコンストラクトを作製し、そのコンストラクトをゲノムに組み込んだ安定細胞株樹立している.今年度はこの細胞株を用いて、ライブイメージング解析を行い偽遺伝子配列の挿入がプロモーター活性にどのように影響しているのかを餌べる.同時に、霊長類特異的pancRNAを発現するトランスジェニックマウスを作製に向け準備する。
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Research Products
(5 results)