2013 Fiscal Year Annual Research Report
偽遺伝子挿入による種特異的非コードRNA獲得に基づく哺乳類エピゲノム進化
Project/Area Number |
12J01645
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上坂 将弘 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Epigenetics / Non-coding RNA / Biodiversity / Transcriptional regulation |
Research Abstract |
本課題では、霊長類特異的な挿入配列由来の機能的非コードRNA (ncRNA)を介したエピジェネティック制御の解明とその普遍性の検証を目的としている。 Directional RNA-seqデータから、マウスとチンパンジー大脳・心臓では、いずれもゲノムの約1%程度しか両鎖からの転写が起こっておらず、PolyA+RNAがシスに二本鎖を形成する確率は低いと考えられた。一方で、タンパク質コード遺伝子の転写開始点近傍では、アンチセンス転写とセンス転写を明確に分ける「スイッチ点」が数手の座位で認められた。更に、プロモーター領域からpancRNAが転写される遺伝子の9割以上は、CpGislandと重なっており、CCGリピートとCGGリピートがそれぞれプロモーター上流と下流に有意に高く存在していた。組織特異的pancRNAを持つタンパク質コード遺伝子は、pancRNA発現増大にしたがい協調的に発現を増大させており、一方ハウスキーピング遺伝子には概してpancRNAが欠落していた。同定したpancRNAについては、神経細胞初代培養系を用いたノックダウン実験によりその機能性を示した。これらの結果をまとめ、論文を投稿し受理された。 pancRNAによる配列特異的DNA脱メチル化反応の一般則を解明するため、これまでに同定したpancUGGT1に加えて、網羅的解析により同定されたpancRNA (pancSh3rf3, pancPacsin1, pancVwa5b2, pancPax6)に関して、マウス神経幹細胞とヒトiPS細胞由来神経幹細胞を用いて解析を行う準備をした。 マウスとチンパンジーのDirectional RNA-seqをもとに比較トランスクリプトーム解析を行い、各生物種特異的な発現を示すpancRNAを多数同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題を構成する[1]配列特異的DNA脱メチル化反応のメカニズムの解明、[2] RNA発現を指標とした生物種特異的な転写領域の網羅取得/機能解明、[3]遺伝子操作技術を活用した脳の多様化の実現、の3つの項目において、当初の予定通り研究が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は生物種特異的pancRNAの機能解析に焦点を当てて進めていく。現在同定できているマウス特異的なpancRNAについては、in vivoエレクトロポレーション法によるノックダウン実験により、生体内の発生における機能性を調べる。 チンパンジー特異的pancRNAの機能性検証については、human iPS細胞由来神経幹細胞株を用いたノックダウン実験を計画している。
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Research Products
(3 results)