2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J01671
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高江洲 俊光 神戸大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 数理物理 / 場の量子論 / ヒルベルト空間論 / スペクトル解析 / 散乱理論 |
Research Abstract |
[フェルミ場が相互作用する系の本質的スペクトルの分布について] 研究内容:交付申請書に記載した「量子場が相互作用する系のスペクトル解析」に関する研究であるフェルミ場が相互作用する系の本質的スペクトルの分布について考察した。フェルミ場とはある反対称的な性質を持つ粒子が生成・消滅する量子場のことであり、その状態空間はフェルミオンフォック空間とよばれる無限直和ヒルベルト空間として与えられる。そのフェルミオンフォック空間とある一般的なヒルベルト空間のテンソル積ヒルベルト空間上で定義されたハミルトニアンの本質的スペクトルについて考察した。ここでハミルトニアンは無摂動作用素と摂動の作用素からなり、下に有界な自己共役作用素であると仮定されている。主定理において、摂動の作用素と生成・消滅作用素の交換子に関するある条件のもとで、その本質的スペクトルがある実数の部分集合となることを示した。また主定理の結果を応用して、Dirac場とKlein-Gordon場が相互作用する系であるYukawaモデルのハミルトニアンの本質的スペクトルがある実数の部分集合と一致することを示した。これらの結果をまとめ、ある学術雑誌に投稿し現在査読中である。 意義・重要性:量子場と量子場に関する研究成果は粒子と量子場が相互作用する系に比べ少ないのが現状であり、量子場と量子場が相互作用する系であるYukawaモデルを具体例として含むより一般的なフェルミ揚が相互作用する系の本質的スペクトルの分布に関する研究成果が得られたことに意義があると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績に記載したフェノLミ場が相互作用する系の本質的スペクトルに関する研究結果は得られたが、次年度以降に計画をしている量子場相互作用系の散乱理論の解析のために必要な多体量子力学系の散乱理論の解析手法の習得についでやや遅れている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画としては予定通り、量子場が相互作用する系のスペクトル解析および散乱理論に関する研究を進めていきたい。特にその散乱理論の解析については多体量子力学系の散乱理論の十分な理解が必要であり、その理解を深め、解析に取り組んでいきたい。また、相対論的なシュレディンガー方程式に従う準相対論的な粒子と量子場が相互作用する系の確率解析的な手法に関するスペクトル解析についても、ガウス超過程およびレヴィ過程の手法を応用し、その解析を進めていきたい。
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Research Products
(7 results)