2012 Fiscal Year Annual Research Report
素粒子物理における「階層性・自然性問題」の超弦理論・量子重力理論による解決
Project/Area Number |
12J01681
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡田 崇 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 行列模型 / 局所化 |
Research Abstract |
研究1.超弦理論の背景にはnon geometricな背景が自然と現れる。本研究では、あるnon geometricな背景まわりで、周期的に運動する弦を解析して、弦の巻きつき数と運動量の変化を調べた。このようなgeometryは、double field theoryと呼ばれる、通常の時空の10次元に、さらに巻き付き数に対応する10次元空間を加えた、20次元の背景で定式化された理論を用いると自然に記述できる。実際、今回のnongeometricな背景は、通常の意味ではisometryはないものの、一般化された意味でisometryをもつことが示せる。また、double化された時空のworldsheetの理論は、double sigma modelと呼ばれるsigma modelで記述されるので、この拡張されたsigma modelの解を構成した。 研究2.M理論はType IIA超弦理論の強結合極限として定義されており、低エネルギーでは11次元超重力理論によって記述されるが、いまだにその全容は明らかでない。。M理論の直接的な定義を与える試みとして、非摂動的定式化としてPlane Wave Matrix Model(PWMM)という行列量子力学系が提唱されている。 本研究では、PWMMの分配関数を、近年注目を集めている経路積分の局所化の方法によって、厳密に計算した。また、時間1次元上で定義されたPWMMから、1+2次元の超対称Yang-Mills理論、1+3次元の超対称Yang-Mills理論の分配関数を得ることにも成功した。このように行列の自由度から高次元時空を構成することは、行列による超弦理論の定式化を考える上でも重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
PPWMMからM理論を記述する極限は強結合極限であり、このような非摂動的な厳密計算は、M理論への極限を調べる上で重要な意義がある。本研究ではこの第一ステップとして、摂動部分に関しては厳密な結果を与えることに成功したので、大きな進展につながると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は行列模型から超弦理論の双対性を理解・解明することに取り組む。特にPlanewave matrix modelのインスタントン効果を正しく評価することができれば、超弦理論・M理論の非摂動な側面の理解の進展につながるので、それを目指す。また、超弦理論におけるT-foldなどの非幾何学的な多様体の役割を明らかにするとともに、その行列模型における実現を目指す。
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Research Products
(3 results)