2013 Fiscal Year Annual Research Report
ループ量子重力理論の初期宇宙揺らぎへの適用とPLANCK衛星による観測的検証
Project/Area Number |
12J01693
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野村 紘一 京都大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 一般相対性理論 / 重力子 |
Research Abstract |
本年度は、Massive Gravity、及びBimetric GravityのAds/CFT対応への適用について研究を行った。 重力を量子化した際に、重力を媒介すると考えられているのは重力子と呼ばれる粒子で、一般相対性理論では質量が0である。重力子に0でない質量を持たせた理論がMassive Gravity理論や、その発展型のBimetric Gravity理論である。 Ads/CFT対応は、5次元の漸近的に反ドジッターな時空上の重力理論を用いて、4次元の物質場の理論の計算を行うもので、物質場の強結合領域が扱えるなどとして注目を集めてきた。また、近年では、物質場側の計算から始めて、量子重力をさぐるための道具としても注目を集めている。しかし、その研究のほとんどが、重力子の質量が0の場合である。そこで、Massive Gravity理論、及びBimetric Gravity理論を5次元の重力理論側において、Ads/CFT対応を考えた。 計算の結果、Massive Gravity、Bimetric Gravityともに、重力子の質量が0である一般相対性理論のときには現れなかった発散項が出現することが分かり、これらを除くための相殺項の形を求めた。また、発散の除去には、重力子の質量項に対して、制限をかけなければならないことも分かった。これらにより、Massive Gravity、Bimetric Gravityを用いたAds/CFT対応の処方箋が求められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Massive GravityやBimetric Gravityといった、重力子が質量を持つ場合のAds/CFT対応の処方箋を与えることは出来、現在論文をまとめているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
Massive Gravity、及びBimetric GravityにAds/CFT対応を適用した際に現れ資発散項の処理の仕方は分かったが、これらの物質場側の対応物が、物理的にどのような意味を持つかは、まだ不明である。よって、今後はまず、これらの解釈の問題について考える。また、この研究から、量子重力への示唆が得られないかについても研究を行う。
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