2013 Fiscal Year Annual Research Report
神経におけるユビキチンリガーゼKLHL7の機能と制御
Project/Area Number |
12J01779
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木越 悠 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ユビキチン / 神経変性疾患 |
Research Abstract |
KLHL7の変異は神経変性症の一種である網膜色素変性症の原因となることが知られている。我々は以前、KLHL7は複合体型ユビキチンリガーゼを形成し、その優性遺伝性の病原性変異体がユビキチンリガーゼ活性をドミナントネガティブに抑制することを明らかにした(Kigoshi, et al., 2011)。しかし、KLHL7の基質や生理的役割の詳細については不明であった。そこで、本研究ではKLHL7の機能や生理的役割の解明を目的とした。 まず、ユビキチン化ターゲットとなる基質候補を酵母ツーハイブリッドや相互作用因子の質量分析によって探索し、その相互作用を免疫沈降実験で解析した。その結果、KLHL7の基質候補としてメチルトランスフェラーゼの一種を同定した。KLHL7とメチルトランスフェラーゼとの結合はプロテアソーム阻害剤により増加し、また細胞内におけるメチルトランスフェラーゼのユビキチン化は原性変異型KLHL7の発現により抑制された。 また、同メチルトランスフェラーゼはゴルジ体形態の調節に関わっていることが知られており、KLHLI7の強制発現により同タンパク質のゴルジ体局在が増加した。さらに同タンパク質がゴルジ体に強く局在した細胞では、ゴルジ体の拡大が観察された。これらのことから、KLHL7はメチルトランスフェラーゼのユビキチン化を介してゴルジ体の形態制御に関与している可能性が考えられた。今後はその詳細な機序の解析と神経における影響について検討する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的であった基質の同定とその制御についての解析は概ね順調に進展している。神経における解析はやや遅れているが、細胞レベルでの影響に関する解析が想定より進展した。また、もう一つの目的であったコンディショナルノックアウトマウスの作製についても、キメラマウスを作製し、ヘテロマウスの誕生が確認されたので総じて比較的順調に進んでいると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
基質制御の解析に関してしっかりしたデータを揃え、計画どおり、神経における影響と、樹立したノックアウトマウスを用いた個体レベルでの解析を行い、論文にまとめていく予定である。
|
Research Products
(6 results)