2012 Fiscal Year Annual Research Report
階層的分子配列と動的配向制御を可能にするオンデマンド型分子プラットフォームの開発
Project/Area Number |
12J01845
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
細野 暢彦 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 高分子 / ポリマーブラシ / アゾベンゼン / 共重合体 / 階層構造 / 分子配向 |
Research Abstract |
本研究は、「あらゆる分子の集積・配向方向を任意に制御することのできる技術」の開拓を目的とする。一般的に、高密度に側鎖を有するロッド状ポリマーは、ある温度条件においてそれらを束ねたような規則的集合形態、例えばヘキサゴナルまたは矩形カラムナー構造を自己組織化的に形成することが知られている。 申請者はこれまで、ある特殊な分子デザインを施したポリマーブラシと呼ばれるロッド状高分子が、加温・冷却処理により自発的に配列し、高次の階層的分子配列構造を形成することを発見した。本申請では、このポリマーブラシ側鎖に光応答能をもつアゾベンゼン分子を複数導入することで、光を用いた集合構造の巨視的配向制御を計画している。その光配向技術を基盤とし、あらゆる機能分子を巨視的かつ方向自在に配向させることのできる足場分子:オンデマンド型分子プラットフォームを開発することが本申請の最終目的である。 本申請で掲げている「分子プラットフォーム:あらゆる分子を修飾可能である足場」を達成するためには、まずその足場デザインの汎用性・普遍性を検討する必要があると考え、本年度は、光配向制御という大きな課題に取りかかる前段階として、ポリマーブラシ側鎖へ種々の分子の修飾を試みた。修飾分子の分子形状(アスペクト比)や、修飾個数、組み合わせ等のパラメータを網羅的に調査した結果、最終的に得られるブラシの集合形態と、修飾分子形状との関連性を見いだした。 本年度は海外での研鎖を積むことも兼ね、アイントホーフェン工科大学(オランダ)で研究の一部を遂行した。現地で申請者が提案し、平行して携わっている研究課題「水素結合を介した合成高分子の一本鎖フォールディング」についても大きな進展が見られた。タンパク質の折り畳み現象を合成高分子で模倣した本研究の成果は、アメリカ化学会誌に掲載され、本年度の大きな業績の一つとなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請課題で掲げる、「階層的分子配列」を実現するために必要な分子デザインのエッセンスを具体的に抽出するため、一部分子構造を単純化することとしたが、概ね当初の計画どおりに進行した。この変更により、形成される階層的集積構造と分子デザインの関連において、網羅的に調査することが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、さらなる分子デザインの最適化に加え、「配向制御」についてもその可能性を探る。また、これまでは修飾分子およびブラシ側鎖の検討を主に調査してきたが、加えてポリマーブラシの主鎖骨格が与える集合構造への寄与も調査する予定である。得られた知見をもとに、アゾベンゼンを導入したポリマーブラシの光配向能を調査する。その後、種々の修飾分子に対して同様の配向および配列現象が確認されるかを検討する。
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Research Products
(7 results)