2012 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体-ゴルジ体間相互作用に着目したER exit site形成機構の解明
Project/Area Number |
12J01880
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高木 純平 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 小胞輸送 / 小胞体 / ゴルジ体 / COPII / MAIGO変異体 / MAGボディ / ER exit sites |
Research Abstract |
これまでに,MAG5は動物や酵母のSEC16のホモログであり,小胞体からゴルジ体へのタンパク質の輸送を担うこと,また,COPII小胞出芽部位であるER exit sites(ERES)に局在し,ERES形成に関わる可能性を示唆してきた.今年度は,MAG5の相互作用因子に関して下記の詳細な解析を行った. MAG5-GFPを構成的に発現する形質転換植物体を用いて,抗GFP抗体を使い共免疫沈降実験ののち質量分析によって解析した.その結果MAG5とSECI3が相互作用因子することを見出した.SECI3はCOPII小胞形成因子であり,SEC31と相互作用することが知られている.しかし,質量分析では,MAG5がSEC31と相互作用するという結果は得られなかったため,Y2Hを用いた解析を行った.その結果,MAG5とSEC31が相互作用することが確認できた.当初の実験計画では質量分析によってMAG5の相互作用因子を網羅的に解析し,未知のER exit sites(ERES)形成因子を同定する予定であったが,これまでに新規因子の同定には至っていない. mag5変異体は小胞体内に異常な構造体MAGボディを多数蓄積していた.このMAGボディを指標として変異体を単離することで,MAG5に関与する因子が得られると考えている.pro2S albumin::GFP-2S albuminをもつ植物体(homozygous line)を単離し,これを変異原処理した後に,M2種子を収穫した.現在,このMS種子プールから蛍光顕微鏡下でGFP蛍光を発する種子を取得するという1次スクリーニングを行っており,全体の約4分の1のスクリーニングを終えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにERexitsiteを形成する因子MAG5の解析を行い,現在その成果をまとめた論文の改訂を行っている.また,小胞体-ゴルジ体間の輸送異常を示す第二の因子MAG3の解析にも着手している.当該年度は,小胞体とゴルジ体の相互作用機構の解明に向けて,新たな変異体選抜方法を独自に考案し,1次スクリーニングではいくつかの変異体を得た.上記の通り,研究は順調に進められ、期待どおりの進展があったと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
正遺伝学的解析に関して,proMAG5::MAG5-GFPをmag5変異体に導入した植物体を得,MAG5-GFPが機能的であることを確認した.しかし,proMAG5::MAG5-GFPをホモに持つ系統においても,蛍光強度が弱いため,MAG5-GFPの蛍光パターンを指標にスクリーニングを行うのは難しいと思われる.今後は生化学的な解析と,MAGボディを指標にしたスクリーニングに注力し,研究を行っていく.生化学的な解析に関しては,今後は,架橋剤を用いて相互作用を安定化させた後に,共免疫沈降実験を行うことを計画している.また,MAGボディを指標にしたスクリーニングに関しては,1次スクリーニングをさらに進めると同時に,選抜した種子を播種して,表現型の確認,2次スクリーニングと原因遺伝子の同定を順次行う予定である.さらに既知のMAGボディ蓄積変異体であるMAG3に関しては,細胞生物学的な解析や機能解析・変異体解析を進める.
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Research Products
(2 results)