2012 Fiscal Year Annual Research Report
結実フェノロジーに応じたマンドリルの大規模な季節性遊動と採食生態の解明
Project/Area Number |
12J01884
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本郷 峻 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 採食生態学 / マンドリル / 果実フェノロジー / 霊長類学 / アフリカ / 熱帯雨林 |
Research Abstract |
本研究の大きな目的は、数百頭もの群れをつくるマンドリルが、季節的に食物量の変動するアフリカ熱帯雨林において、その巨大な集団を保ったまま採食競合を軽減することを可能にしている採食戦略を解明することにある。研究初年度である本年度では、長期のフィールドワークによって、連続的なデータを習得することに専念した。 本年度は2回にわたり、計約8ヶ月間ガボン共和国に滞在してフィールド調査を行った。まず6-8月の渡航において、テレメトリ装着のための許可書取得、研究協力者との打ち合わせや情報収集、調査助手の訓練や捕獲準備などを行うとともに、果実フェノロジー調査、およびカメラトラップによるマンドリルを含む哺乳類層の密度調査を行った。 続いて9月末から再度ガボンへ渡航し、許可期限である11月末まで捕獲作戦を実施した。移動可能な箱罠6台と据え付けの大型の濫を用い、バナナやサトウキビなどの農作物や森林内の自然食物を餌として利用しての捕獲を試みた。しかし、マンドリルを捕獲・テレメトリ装着することはできなかった。 マンドリルの群れの遊動パターンを明らかにするためのテレメトリ調査がかなわなくなったため、調査計画の変更を迫られた。そこで、テレメトリによって群れの土地利用を調べる代わりに、中島啓裕博士(京都大学)と共同で平成24年1月から実施しているカメラトラップによって、マンドリルの個体群の土地利用を調べて、果実フェノロジーや採食行動との関連を解明することに計画を変更した。果実フェノロジーを行っているトランセクトに設置されているカメラトラップ(計130台)を用いることによって、大きな研究テーマを変更することなく調査を継続することが可能である。このカメラトラップの調査、および果実フェノロジー調査とマンドリルの採食行動の観察調査を平成25年2月末まで継続した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の調査項目の一つである、テレメトリを用いたマンドリルの遊動パターンの解明は行えなかったが、カメラトラップを用いて研究テーマを大きく変更することなく、調査を継続できている。その他の果実フェノロジーやマンドリルの採食生態に関する調査は順調にデータが習得されており、学会発表や論文執筆などで公表する準備も整ってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は計8か月間フィールドワークを行っていたこともあり、上記の成果を詳細に分析し発表する機会が持てなかった。現在、データの解析を進めてマンドリルの社会構造に関する論文を執筆すべく準備中である。平成25年度は、夏季にデータ継続取得のため数か月再度調査を行った後、年度の後半において、動物行動学会や生態学会などで成果を発表し、さらにフェノロジーとマンドリルの土地利用・採食生態との関連に関する論文も執筆する予定である。
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Research Products
(1 results)