2013 Fiscal Year Annual Research Report
結実フェノロジーに応じたマンドリルの大規模な季節性遊動と採食生態の解明
Project/Area Number |
12J01884
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本郷 峻 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 採食生態 / マンドリル / 結実フェノロジー / 霊長類学 / アフリカ / 熱帯雨林 |
Research Abstract |
本研究の大きな目的は、数百頭もの群れをつくるマンドリルが、季節的に食物量の変動するアフリカ熱帯雨林において、その巨大な集団を保ったまま採食競合を軽減することを可能にしている採食戦略を解明することにある。昨年度、データ収集の方法をラジオ・テレメトリから自動撮影ビデオトラップに変更し、本年度もその調査を継続した。 6月から9月にかけてガボンのムカラバ国立公園に渡航し、他の研究協力者と共同で進めている長期フェノロジー調査とビデオトラップ調査を行った。この調査は20L4年1月まで計2年間継続され、取得したデータをもとにマンドリルの群れの生息地の利用頻度の季節的変異と結実フェノロジーとの関係について現在分析中である。また、ムカラバのマンドリルの採食生態に関して、これまで乾季(6-9月)のデータが不足していたが、今回の調査で十分な糞資料と観察が得られた。これによって、マンドリルは果実の多い雨季前半にも果実の少ない乾季にも主として果実・種子を採食していることがわかった。これは、マンドリルの大集団が強い間接的採食競合にさらされていることを示唆する結果である。マンドリルの大集団の維持機構を解明する上で重要な研究の意義づけとなる前提が示された。 また、マンドリルの大きな群れの社会にっいては、これまで群れの中に単雄複雌のハーレムが複数存在する重層構造なのか、それともそういった小集団を群れ内部に持たない単層構造なのか議論が分かれている。私はこれまでの調査の中でマンドリルの群れが開けた場所を渡る際にビデオにより行列を撮影しそれらを近縁種で社会構造の分かっているヒヒ類と比較することで、マンドリルは単層構造社会であることを示唆する結果を得た。この結果を日本動物行動学会大会およびPWSリーディングプログラムシンポジウムで発表し参加者らと議論した。そして、この内容をまとめ、現在論文として投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度も予定通り調査を遂行でき、当初の目的達成のためのデータを取得でき、帰国後、予備的な結果を日本動物行動学会で発表し参加者と議論することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(3 results)