2012 Fiscal Year Annual Research Report
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12J01895
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
仁田原 翔太 東京薬科大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 鉄マンガンクラスト / 16S rRNA遺伝子 / 微生物生態系 / 古細胞 / アンモニア酸化菌 |
Research Abstract |
1.研究の背景、目的について マンガンクラストは鉄とマンガンの酸化物を主成分とする鉱物である。マンガンクラストがコバルト、プラチナなどのレアメタル、レアアースを含むこと、日本の排他的経済水域中に広範囲に存在していることが知られている。しかしマンガンクラストの形成機構などはわかっていない。私たちは、マンガンクラストの形成に微生物(例えば鉄酸化細菌やマンガン酸化細菌)などが関わっていると考えている。またマンガンクラストの海底面での膨大な広がりから、マンガンクラスト上に存在する微生物は物質循環に大きな影響を与えていると考えている。 本研究の目的は、マンガンクラスト表面の微生物生態系を明らかにし、マンガンクラスト形成と微生物との関係、そしてマンガンクラスト表面に存在する微生物の物質循環への影響を見積もることである。 2.研究の具体的内容、結果について 本研究では、拓洋第5海山と流星海山から採取したマンガンクラストおよび周辺堆積物、海水試料を用いた。それぞれのサンプルからDNAを抽出し、16SrRNA遺伝子を対象としたPCRを行い、クローンライブラリーを作成した。シークエンシングにより塩基配列決定を行い、この情報を元に分子系統学的な解析、統計学的解析を行い、どのような微生物生態系であるかを決定した。また定量PCRを用いて、微生物存在量の推定を行った。 その結果、マンガンクラストと海水とでは共通している種がほとんどなかった。その一方堆積物と比較すると、マンガンクラストから検出された種のうち2~3割程度が堆積物と共通した種であった。 また主座標分析の結果、マンガンクラストと堆積物とでは微生物生態系が異なっていること、またマンガンクラストは海山ごとに微生物生態系が異なる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、昨年度中に採取したサンプルの16SrRNA遺伝子のクローンライブラリー解析を終える予定であったが、解析を終えることができなかった。9月~10月、12月に3つの航海に参加したため、思うように実験することが出来なかったが、言い換えるなら、新鮮で新しいサンプルを多く得ることができた。そのため、計画に大きな遅延があるとは考えられないため、おおむね順調に進展している、とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方針としては、採取したマンガンクラストの遺伝子解析および微生物培養に取り組む。マンガン酸化菌の培養に昨年度は取り組んだが、成功しなかった。培養条件の検討およびマンガン酸化遺伝子を用いての遺伝子解析を行う。またアンモニア酸化菌の培養、単離にも取り組んでいるが、こちらも成功していないため、条件検討を行なうと共に、バッチ培養ではなく、フロー系での培養装置を自作し、培養に取り組みたい。
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