2013 Fiscal Year Annual Research Report
高効率酸化物熱電変換材料による熱電発電システムの構築
Project/Area Number |
12J01910
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大矢 麻美 北海道大学, 大学院工学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 熱電変換材料 / エクセルギー / 熱力学コンパス |
Research Abstract |
平成25年度の当初の研究目的は, 中高温用n型SrTio_3熱電変換材料製造プロセスの検討と、中高温用p型酸化物熱電変換材料の開発であった。当初の目的達成のための研究実施計画では、①LaをドープしたSrTio_3燃焼合成の数学的モデルの構築およびプロセスの総合評価と、②Ti酸化物の還元によるTio1+xの合成を実施する予定であった。 平成25年度は当初の予定を変更し、平成25年度の研究実績は, Fe_2VAl熱電素子の新規製造法であるテルミット合成法の熱力学的解析を実施し知見を得た。Fe_2VAl熱電素子は、現在既に商用化しているBi_2Te_3系熱電素子と同じ温度域で高い出力を示す熱電素子であり、BiやTeと異なり資源が豊富で安価な材料から合成できるため次世代の熱電素子として注目を集めている。従来のFe_2VAl熱電素子製造法は時間とエネルギーを多消費する問題があったため、その解決策としてアルミニウムの還元熱を利用したテルミット反応の利用を提案した。テルミット合成法の熱力学的優位性を示す目的で、テルミット合成法と従来法であるアーク溶解法を用いてFe_2VAl熱電素子を得るプロセスのエクセルギー変化量とエントロピー変化量を座標上のベクトルとして表すことでその熱力学的特徴を明らかにする熱力学コンパスを用いて解析を実施した。解析の結果、・提案するテルミット合成を用いることで、テルミット反応による反応熱を合金化に効率良く使用できるため、一定量のFe_2VAl熱電素子を得るまでに投入するエネルギーの40%を削減可能であることが判明し、省エネルギーな熱電素子製造法として極めて有効であるという結果を得た。 得られた成果を2013年7月の第32回国際熱電会議にてポスター発表にて発表した。また、英語論文に取り纏め、現在査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究目的からの変更があったため, 論文発表まで進展していないが, 英語論文は現在査読中であり、次年度への指針も得たため, 達成度を②とした.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は, 当初の研究計画を一部変更し, 資源循環に目を向けた研究を実施する予定である. 可採埋蔵量の低下が著しい資源や, リサイクルによる二次利用の困難な資源の利用は循環型社会形成の足枷であることは想像に難しくない. このため, 熱電変換素子にたびたび利用されるレアメタル元素を取り上げ, 世界規模で資源のストックやフローを定量化し把握することを目的とする.
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Research Products
(1 results)