2013 Fiscal Year Annual Research Report
低強度運動介入が高齢者の高次認知機能に及ぼす影響―fNIRSによる神経基盤の検討
Project/Area Number |
12J01926
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
兵頭 和樹 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 低強度運動 / 実行機能 / 前頭前野 / Stroop課題 / 換気性作業閾値 / 近赤外線分光法 |
Research Abstract |
本研究は、低強度の運動介入が高齢者の前頭前野機能に与える効果の脳内メカニズムを、最新の脳機能イメージング装置である近赤外線分光法装置(fNIRS)を用いて明らかにすることを目的としている。 昨年度までで、健常な高齢者に対して、一過性の中強度運動が実行機能(前頭前野が司る高次認知機能)を評価するストループ課題の成績を高める脳内メカニズムを明らかにし(Hyodoら, 2012, Neurobiol Aging)。横断的研究により、最大下の有酸素能力である換気性作業閾値(VT)の高い高齢者は実行機能が高く、その脳内メカニズムとして、若者型の左半球優位の脳活動が保たれていることが明らかとなった(論文投稿中)。VTは低強度の身体活動量と関係することから、低強度の運動でも実行機能が向上する可能性が示された。 しかし、低強度運動が直接的に実行機能に与える効果については未だ明らかではない。したがって、本年度はまず若齢成人を対象に低強度の運動が実行機能に与える影響とその脳内メカニズムを検討した。25名の若齢成人に、10分間の低強度運動(30%VO2peak)を行わせ、その前後にストループ課題をおこない、課題中の前頭前野脳活動をfNIRSで測定した。その結果、低強度運動後にストループ課題の成績が向上し、その際ストループ課題の遂行に必要な左前頭前野の活動増加が見られた(Byun, Hyodo,ら, Neuroimage, minorrevision)。この結果から、低強度運動は中強度運動と同様に実行機能を高めることが明らかになり、高齢者においても同等の効果が表れる可能性がある。しかし、習慣的な低強度運動が実行機能に与える影響は未だ明らかではない。そこで、現在は、3ヶ月間の低強度運動が、高齢者の実行機能に与える影響の脳内メカニズムを検討している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度中に高齢者への低強度運動介入が実行機能に与える影響の実験を終了予定だったが、一過性低強度運動が実行機能に与える効果を検討する実験に時間がかかり、介入実験が年度をまたがる形になった。また、高齢者への運動負荷試験をおこなうための運動機器が故障し、修理に出したり、運動教室で使う運動器具の購入に時間がかかったことも介入研究が遅れた理由の1つである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでで、過性の低強度運動が実行機能を高めることが明らかとなったが、長期の低強度運動介入が実行機能に与える影響については明らかではない。したがって、現在は3ヶ月間の低強度運動介入が高齢者の実行機能に与える影響について実験をおこなっている段階である。55名の高齢者を対象に、低強度運動をおこなう運動群と、これまでと同様の生活をおこなう通常生活群に分け、運動群には3ヶ月間、週3回1時間の低強度運動(ペダリング運動)をおこなう。7月にポストの測定が終了する予定であり、その結果を解析し、データをまとめて論文化する作業をおこなう。
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Research Products
(3 results)