2012 Fiscal Year Annual Research Report
微生物工場における乳酸ベースポリマーの生合成と化学修飾
Project/Area Number |
12J01932
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
孫 健 北海道大学, 大学院・総合化学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 乳酸ポリエステル / PHA / 不飽和ユニット / 化学修飾 |
Research Abstract |
申請者は平成24年度で、化学修飾が可能である不飽和ユニットを有する乳酸ベースポリマーを生合成するため、「不飽和ユニットを有する乳酸ポリエステル生産経路の構築」と「ポリマーの生合成実験」を中心に研究を行った。 当研究室での大腸菌における「オールバイオプロセス」での乳酸ポリエステルの生合成は、有害な重金属触媒を用いないため、高い安全性が求められる医療用材料への応用が可能となる。さらに、乳酸とPHAの共重合体は透明性が高く、より優れた延性を持つ。しかし、現在まで生合成可能な乳酸ポリエステルは疎水性であり、分解性と生体適合性が低いということが問題であった。そこで、化学反応性が高い不飽和結合側鎖を有する乳酸ベースポリマーを合成し、化学修飾によって水酸基の付加をすることで、分解陸と生体適合性が高い親水性乳酸ベースポリマーを創出できると考えた。 不飽和ユニットを有する乳酸ベースポリマーを生合成するため、乳酸ベースポリマーの重合の鍵となる乳酸重合酵素PhaClSTQK、及び各種モノマー供給酵素の遺伝子を含むプラスミドベクターを構築し、大腸菌に導入した。そして、不飽和ユニット3-ヒドロキシ-4-ペンテン酸の前駆体である短鎖不飽和脂肪酸4-ペンテン酸を培地中に添加し、ポリマー生合成を試した結果、不飽和乳酸ポリエステルの創出ができた。しかし、共重合体中の不飽和ユニットの分率が低いという問題があった。そこで、乳酸と共通の主鎖構造を有する2-ヒトロキシブテン酸を用い、より不飽和ユニット分率が高い乳酸ベースポリマーの生合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大腸菌における不飽和結合を有する乳酸ベースポリマーを生合成する経路を構築し、不飽和ユニットと共重合した乳酸ポリマーを生合成することができた。さらに、2-ヒトロキシブテン酸を用い、不飽和ユニットの分率が高い乳酸ベースポリマーの創出によって、様々な割合で親水基を導入することが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
不飽和ユニットの分率が高い乳酸ベースポリマーの創出がてきたが、生産された乳酸ベースポリマーの透明性や延性を調節するために、乳酸分率の制御が必要である。しかしながら、現在の系ではポリマー中の乳酸分率には上限がある。 今後、効率良く乳酸を供給することの出来る経路を構築し、乳酸分率の向上を図る。また、ポリマーの親水性化学修飾と熱的、機械的性質の分析をするため、培養条件を検討し、不飽和結合を有する乳酸ベースポリマーの大量生産を試みる。
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Research Products
(1 results)