2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J01935
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
傅 愛玲 明治大学, 先端数理科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | スマート・グリッド / 情報セキュリティー / 顧客ニーズ / 機能条件 / 情報セキュリティー管理 / システム / データ解析 / アネルギー |
Research Abstract |
研究代表者らは、すでに2011年に、スマートグリッドに対するハッカーによる攻撃は大変危険であり、電力供給が不安定になるだけでなくシステム全体が停止させられる危険性があることを指摘したが、その上に立って、スマートグリッドのセキュリティに関して次のように研究を行った。 第1に、以前に行ったアンケート調査のデータから、サイバー攻撃に対処するのに必要な機能用件を特定し、そのデータを記述統計学的方法により解析した結果、諸々の要件の中でプライバシーへの配慮が最も重要であることを明らかにした。そして、スマートグリッドのセキュリティを高める方法についても議論した。これらの結果はJournal of Wireless Moblle NetWorks, Ublquitous Computing, and Dependable Applicationsに掲載されている。 第2に、スマートグリッドの情報セキュリティシステムにおける顧客要求を、16の要件に渡って各国でアンケートをとり、そのデータ解析を行った。すると上記16の消費者ニーズの各々に関して強い相関関係が見いだされた。その際,Walsham(1996)の情報セキュリティに関する論文に紹介されている方法を用いてアンケートデータから顧客ニーズの各国のランキングづけも行った。この結果はInternational Journal of Modern Engineering Researchに掲載されている。 第3に、スマートグリッド技術を採用する主要な目的は国や地域によって異なることに着目し、その中での日本の状況について調査した。近年のアジアのエネルギーバランス対策を先導する立場で、日本は低炭素社会に向けて,化石燃料から再生可能エネルギーへの移行に積極的に取り組んでいる。その一環として,日本政府はスマートグリッド・パイロット・プロジェクトで,国内外でスマートグリッドの事業投資をしていくと宣言している。このように日本政府がグリーンエネルギーの取り組みに向けて採用している現在のコンセプトと戦略について分析した。その結果はInternational Journal of Computers, Information Technolog yand Engineeringに掲載されている。 第4に、日本は環境先進国であり資源の再利用の技術や山林の緑地化についての高い伝統と技術を備えている点に注意を促し,スマートグリッド技術を含む環境問題改善において将来日本が他国をどのように牽引していくかを論じた。次に,Heinz K. Klein et at(1999)の手法でアメリカと日本のエネルギー関連の会社に関するデータを解析し,両国の比較を行った。さらに、現在の日本とアメリカの火力・原子力・水力発電所の状況を比較し,日本の石油依存率は低いことを示した。低炭素社会を目指す"Go Green Effort"プロジェクトについても調査した。本研究の内容International Journal of Advanced Science and Applicationsに論文として掲載されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画は全て達成し,研究業績は4冊のジャーナルおよび他の出版物にて発表した。次年度に研究を計画していた16の消費者ニーズの各々に関する強い相関関係についても、予備調査に着手し順調に進展しているほか、当初の計画で予定していなかった、日本政府がグリーンエネルギーの取り組みに向けて採用している現在のコンセプトと戦略や低炭素社会を目指す"Go Green Effort"プロジェクトに関する調査についても成果を上げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)研究代表者らの共著論文APAL(2012)に特定したスマートグリッドにおけるセキュリティシステムがサイバー攻撃に対処するのに必要な機能要件の重要性について、Walsham(1996)の情報セキュリティに関する論文に紹介されている方法を用いてアンケートデータから各国のランキングづけを行う。次に,その機能要件と消費者必要条件を品質機能開発(QFD)においてバランスさせることを目標とする。 2)今後、地熱・太陽熱・風力などの代替エネルギーを利用していく方向性にあって,スマートグリッドの導入が重要なステップであることを論説する。また将来に渡ってどのようにスマートグリッドインフラを導入する必要があるかなどその事業計画案を提案する。
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Research Products
(5 results)