2013 Fiscal Year Annual Research Report
膜電位と細胞内シグナル伝達系を繋ぐ新規協調機構の解明
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12J01957
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河合 喬文 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 電位センサー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、膜電位が細胞内シグナル伝達系に及ぼす新規の機構を明らかにするため、膜電位感受性酵素VSP,及び膜電位センサーのみからなるという極めて特徴的な構造を持ったVSOP1, VSOP2に着目した研究を行っている。 VSP(Voltage-Sensing Phosphatase)は、現所属研究室において初めて同定された電位依存性酵素であり、細胞の膜電位に応じてイノシトールリン脂質を脱リン酸化するというホスファターゼ活性を有する。VSPについては、これまでにVSPが精子機能に重要であることを示唆するデータが得られている。VSOP1(voltage sensor only protein1)は、現所属研究室において最初に同定された膜電位センサーのみからなる蛋白質であり、電位依存性プロトンチャネルとして機能することが分かっている。VSOP1は脳内においては、ミクログリアに特異的に発現することが分かっている。これまで好中球においてVSOP1は活性酸素の産生に重要であることが分かっていたが、予想に反してミクログリアにおいてはVSOP1ノックアウトマウスの細胞外活性酸素の産生能が増大することが分かった。またin vivoでは、6カ月齢以降の雌VSOP/Hv1ノックアウトマウスが肥満の表現型を呈することも明らかになってきた。VSOP2(voltage sensor only protein2)は、VSOP1に似た構造を持つものの、その機能の不明な蛋白質である。本年度は、北海道大学・渡辺雅彦教授との共同研究により、本遺伝子がマウス小脳の顆粒細胞に豊富に発現していることが明らかになった。また本遺伝子欠損マウスを用いて藤田保健衛生大学・宮川剛教授との共同研究により、行動バッテリーテストを行ったところ、いくつかのテストにおいて違いが見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまで生物学的な機能がわかっていなかった電位センサータンパク質VSOP1, VSPについて、遺伝子欠損マウスを用いた解析により予想以上にその重要性が明らかになってきたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで明らかになってきた遺伝子欠損マウスの解析結果について、そのメカニズムを更に詳細に明らかにしたいと考えている。
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