2012 Fiscal Year Annual Research Report
生後発達期におけるミクログリアの神経回路再編に対する役割の解明
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12J02038
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
宮本 愛喜子 総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ミクログリア / スパイン / in vivo imaging / in utero electroporation / 生後発達期 |
Research Abstract |
生後発達期、中枢神経系では大規模な神経回路形成・編成が生じる。神経回路網の変化としては神経間の情報伝達部位であるシナプスの除去や新生があげられるが、近年、ミクログリアがシナプス除去に対して役割を持っていることが明らかとなってきた。申請者は未解明である生後1-2週目のマウスにおけるミクログリアの役割、特に神経回路発達の指標となるシナプス動態に対するミクログリアの関与について明らかにするためにin vivo 2光子イメージングを用いたミクログリアの接触とスパイン形成または消失について検討を行った。生後8-10日齢のIn utero elecctroporation法によって大脳皮質興奮性神経細胞特異的に赤色蛍光タンパク質を発現させたIbal-EGFPマウス(ミクログリア特異的にEGFPを発現)を用いて、in vivo 2光子イメージングを行ったところ、ミクログリアが接触した部位に新たなフィロボディアが形成される様子が観察され、樹状突起全体のフィロボディア形成の割合よりも高いことが明らかとなった。ミクログリアを時期特異的(P5-10)にアブレーションしたマウスにおいてもスパイン密度の減少が観察された。さらに、固定標本を用いて幼若期ミクログリアの形態を調べたところ成体マウスのミクログリアより活性化していることが明らかとなったので、ミクログリアの活性化を抑制するミノサイクリンの腹空内投与を行い、スパイン密度を調べたところ有意な減少が見られた。以上のことから、発達期においてはミクログリアがスパイン形成に関与しており、さらにミクログリアの活性化状態が重要であるとが考えられる。本研究では発達期の回路形成にミクログリアが関与しているという新たな機能を示唆する結果が得られた。ミクログリアの正常な機能が失われることで精神疾患が発症することを示す報告もあることから、今回明らかとなった現象の詳細な分子メカニズム等を明らかにすることで、これらの治療に関して新たな視点を提供することも可能であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題ではミクログリアと神経細胞の接触様式とシナプスを介した神経回路発達への影響の解明について(1)発達期におけるミクログリアとスパインの接触様式およびスパインの変化の観察、(2)ミクログリアの活動阻害によって、神経回路の発達に異常が生じるかどうかについて検討を行うことを目的としていた。(1)に関してはin uteroelectroporationによって大脳皮質錐体細胞を赤色で標識したIbaI-EGFPマウス(ミクログリア特異的にEGFPを発現)を用いたin vivoイメージングを行うことで発達期においてミクログリアがスパインの前駆体であると考えられているフィロボディア形成に関与している可能性を見いだした。(2)に関してはミノサイクリンによるミクログリア阻害やミクログリア除去マウスにおいてスパイン密度が減少する結果が得られたことから神経回路にも影響が出ていることが考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は前年度明らかとなったミクログリアによるフィロボディア新生のメカニズムについて検討を行う予定である。 傷害時において傷害部位周辺の活性化型ミクログリアでBDNFの発現が上昇し、同部位でのシナプス数が変化するという報告があることから、BDNFがミクログリアを介したシナプス動態を調節する可能性についてTetOシステムを利用してミクログリア特異的にBDNF発現増強・抑制するマウスを用い検討を行う。また、ミクログリアによるフィロボディア形成の神経回路発達への影響をより詳しく調べるためにミクログリア除去マウスを用いたカルシウムイメージングを行う。ミクログリア除去マウスではスパイン密度が減少するという結果が得られていることから正常なマウスよりも未発達な状態にあることが考えられる。そこで、感覚入力に対する神経細胞の応答を観察し、感覚入力に対する神経回路にどのような異常が生じているか検討する。
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Research Products
(3 results)