2013 Fiscal Year Annual Research Report
中海におけるサルボウガイ再生のための分子遺伝学的アプローチ
Project/Area Number |
12J02081
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
田中 智美 鳥取大学, 大学院連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | サルボウガイ / ミトコンドリアDNA / COI遺伝子 / 集団遺伝構造解析 / 生産構造 / 中海 / 資源管理 |
Research Abstract |
本申請研究では, ミトコンドリアDNAマーカーを用いてサルボウガイScapharca suhcrenataの資源復活および質源管理に資する遺伝生態学的知見の蓄積することにより、中海圏域の地域振興に貢献することを目的としている。採用最終年度である当該年度は補足実験および蓄積データを整理して、取りまとめた。 本種のより詳細な生産構造の解明を目的として、本種と分布域が広く重なり同様に水産利用されるアカガイS. broughtoniiを用いて比較解析した。宮城県、石川県および愛知県の国内3集団および韓国、中国の合計5集団180個体のアカガイを解析に供した。ミトコンドリアDNAのCOI遺伝子507塩基対を解析した結果、本種と同様に集団間に明瞭な遺伝的分化が認められ、集団ごとに生産構造が異なることが示唆された。 これまでの蓄積データを整理し、国際誌に2報の論文を掲載した。本申請研究により本種の国内における網羅的かつ詳細な集団遺伝構造を解明し、近縁種とも比較解析したことにより、遺伝学的知見の乏しかった本種の進化および放散を解明する基礎的知見が蓄積された。本種は明瞭な地域集団を形成しており、各集団を単位とした資源管理が必要であることが示唆された。また、中海における本種の詳細な生産構造マップを作成した。本結果は増殖事業および生息適地選定とあわせて活用することにより本種資源の増産や資源管理への貢献が見込まれる。さらに、中海における本種資源の復活を目指した採苗や放流を実施する際は、地域集団の遺伝特性を詳細に把握し、遺伝的リスク管理に基づいた資源管理が必要であることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(4 results)