2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J02083
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
池上 太郎 琉球大学, 理学部・海洋自然科学化生物系, 特別研究員(PD)
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Keywords | ミナミトビハゼ / キンギョ / 潮汐リズム / 時計遺伝子 / メラトニン / 自発行動 / 移動行動 / 松果体 |
Research Abstract |
本年度は、潮汐性自発行動リズムの形成において環境因子である潮汐が行動リズムに与える影響と内因性リズムの調節系の働きに焦点を当て、1)潮汐がキンギョとミナミトビハゼの自発行動量に与える影響と、2)ミナミトビハゼの自発行動リズムにおける体内時計とメラトニンの関与について調べた。 1)潮汐がミナミトビハゼとキンギョの自発行動量に与える影響 潮位の変化がキンギョとトビハゼの自発行動量に与える影響を調べた。キンギョは、干潮から満潮にすると、行動量が有意に上昇した。一方、トビハゼは満潮から干潮にすると、行動量が有意に上昇した。さらにトビハゼは潮位の変化に合わせた移動行動を示した。 2)ミナミトビハゼの自発行動リズムにおける体内時計とメラトニンの関与 1)の解析により、水槽内においてトビハゼが潮汐に合わせて移動行動と自発行動リズムを示すことが明らかになったことから、つづいてこの行動が外因性(潮汐)または内因性のリズム調節機構(体内時計、メラトニン)によって形成されるのかを明らかにするため、まず潮位一定条件下にし、光条件を明暗(LDI2:12)、恒暗(DD)、暗明(DL12:12)、恒明(LL)にし、そのときのトビハゼの自発行動リズムについて赤外線センサーシステムを用いて調べた。さらにLD、DD、LL条件下におけるトビハゼのメラトニンリズムを調べるため、松果体を静置培養し、培養液中に分泌されるメラトニン量を時間分解蛍光免疫測定法により測定した。潮位一定条件下では、どの光条件においても自発行動は周期性を示さなかった。一方、メラトニンは、LD条件下では、暗期に合成される日周リズムを示したが、DDおよびLL条件下では、リズム性を示さなかった。これにより、ミナミトビハゼの潮汐性の自発行動リズムは、体内時計およびメラトニンによる制御は受けておらず、潮汐の影響によることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始時にはトビハゼの採集方法、飼育条件などに時間が取られてしまったが、その後は当初の計画通り、トビハゼの潮汐性自発行動リズムの解析が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究により、トビハゼが潮汐性リズム解析の優れたモデル生物であることが明らかとなった。自発行動に関しては、潮汐にのみ調節されていたが、脳内では内因性の潮汐リズムを持っていることが予想される。今後は、脳内の時計遺伝子の発現リズムを調べることで、明らかにできると予想される。
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Research Products
(2 results)