2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J02083
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
池上 太郎 琉球大学, 理学部海洋自然科学科生物系, 特別研究員(PD)
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Keywords | メラトニン / メラトニン受容体 / 時計遺伝子 / 潮汐リズム / 月周リズム / 産卵リズム / ミナミトビハゼ / 日長 |
Research Abstract |
本年度は、ミナミトビハゼの生体リズムおよび産卵リズムの形成機構について取り組んだ。 1. ミナミトビハゼの生体リズム形成機構の解明 本年は、まず生体リズムの調節因子であるメラトニン受容体遺伝子および時計遺伝子(Cryptochrome)のクローニングを行った。メラトニン受容体遺伝子の発現組織を調べたところ、中枢神経系から末梢組織までに発現していた。つづいて、特に発現壁の高かった視蓋・間脳、網膜および肝臓における発現リズムを調べたところ、メラトニン受容体遺伝子の発現は視蓋・間脳および網膜において日周変動していた。一方、肝臓では変動していなかった。昨年の研究より、松果体から分泌されるメラトニンも日周変動していることから、メラトニンの機能はリガンドに加え、受容体側による制御も受けていることが示唆された。 2. ミナミトビハゼの産卵リズムの形成機構の解明 まず本種の産卵時期および産卵期における産卵周期について調べた。その結果、産卵期は6月から7月であることが明らかになった。6-7月は一年で最も日が長くなる季節であることから、日長が生殖腺の発達に影響を与えることが予想された。冬季に温度一定で長日条件と短日条件で本種を1ヶ月間飼育したところ、長日条件下においてオスの精巣が短日条件下に比べ、有意に発達した。これにより、日長が生殖腺の発達に影響を与えることが明らかになった。一方、産卵期では、メスにおいては生殖腺指数が新月にピークをもつ月周変動していた。実際、卵巣の形態を顕微鏡観察したところ、卵巣は新月では完熟期の卵母細胞が多く存在し、一方満月では未成熟な周辺仁期の卵母細胞などを含んでいた。これにより、産卵期ではメスにおいて月周性の卵形成リズムがあることが明らかとなった。また現在、生殖関連遺伝子のクローニングをしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時計遺伝子のクローニングに時間がかかった。しかし、ミナミトビハゼの産卵時期および産卵リズムを明らかにすることができた, さらに季節性産卵リズムに光が電要であることまで突き止めることができた。さらに生殖関連遺伝子のクローニングが順調に進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
潮汐により、ミナミトビハゼの生息地の環境浸透圧は周期的に変化している。すなわち、ミナミトビハゼの生体リズムの形成には環境浸透圧の影響についても考慮する必要がある。特に環境浸透圧の変化に対応した内分泌調節機構が存在すると予想されることから、今後は環境浸透圧の変化が浸透圧調節ホルモン遺伝子に与える影響についても明らかにしていく。
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Research Products
(8 results)