2012 Fiscal Year Annual Research Report
進化計算を用いた人工ニューラルネットワークの動的学習問題における汎化能力
Project/Area Number |
12J02124
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大江 亮介 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 人工ニューラルネットワーク / 進化計算 / 物理シミュレーション / 仮想ロボット / 汎化能力 |
Research Abstract |
進化的人工ニューラルネットワーク(Evolving artificial neural network, EANN)を動的なシステムの制御に適用した際の汎化能力の調査を行った.ただし,学習対象のタスクは与えられた光源へ近づく光源追従とし,モデルの目標状態が学習時と異なる状況における汎化能力のみを対象とした.解析が容易な2次元平面上で運動を行う仮想ロボットの制御にEANNを用いた数値計算実験より,1箇所の光源のみを与えて学習を行った場合,ある学習ステップ以降に汎化能力が悪化する現象が観察された.また,複数の光源を与えて学習を行った場合,学習後の行動特徴が互いに異なる,すなわち学習後の汎化能力が相補的となる光源を組み合わせた場合に汎化能力が向上することが示された.この結果は特定のモデルから導出されたものであり,タスク間の汎化能力の相補性の一般化等の課題は残されているが,他の制御対象や異なるタスクの学習にも応用可能な知見である.さらに,より複雑な制御対象における汎化能力を調査するため,3次元空間内で飛翔を行う仮想ロボットの制御にEANNを用いた数値計算実験を行った.実験より,汎化能力に関して2次元仮想ロボットと類似した傾向が見られた.また実験結果を統計的に解析した結果,ANNに入力される状態パターンの多様性と汎化能力の間に強い正の相関が見られた.この結果を基に,タスクの評価に状態パターンの多様性を組み合わせて再度数値計算実験を行ったところ,状態パターンを多様にする評価戦略が汎化能力の向上に寄与することが示された.状態パターンの多様化は極めて恣意的な実験設定であり,行動の滑らかさを損なう可能性もある.しかし,これは制御対象を問わず応用可能な知見であり,状態パターンの多様性と汎化能力の間に何らかの関係性が存在することの例証でもある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究計画について,光源の組み合わせにより汎化能力を向上させる方法を実現した.また平成25年度に実施予定であった内容として,状態パターンの多様性を用い,計算量を低減して汎化能力を向上させる方法を実現した.これらは当初の計画を大きく上回る成果といえるが,汎化能力の3つの分類のうち1つの分類のみに限定して行われた研究である.ゆえに,これらを総合して上記の評価とした.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究計画のうち,汎化能力の3つの分類の残り2つの分類に関する検証が十分でなかったため,これらに関する検証を行うように研究計画を変更する.すでに1つの分類に関しては十分な成果が得られているため,ここで得た方法論を残り2つの分類に対して適用する.一方,平成25年度の研究計画のうち,計算量を低減して汎化能力を向上させる方法はすでに実現されている.ゆえに,状態パターンの多様性を用いた汎化能力向上のための戦略を残り2つの分類に対して適用し,すでに得られている結果と同様の傾向が見られるかを検証する.
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Research Products
(9 results)