2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規光互変性不斉金属錯体を触媒に用いた不斉選択重合による機能性高分子材料の開発
Project/Area Number |
12J02181
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
酒井 直哉 北海道大学, 大学院・総合化学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 不斉触媒 / ビナフチル基 / 金属錯体 / 不斉選択重合 / アゾベンゼン |
Research Abstract |
高次構造が制御された高分子には低分子では達成不可能な特異な性質を有するものが数多く存在する。そのため現在、合成高分子の分野において分子の立体構造を精密に制御することが極めて重要な課題とされている。本研究の目的は、光互変性の置換基を有する不斉触媒を設計・合成し、重合可能なモノマーの不斉選択性が可逆的に変化(スイッチング)可能な重合系の開発および合成した光互変性不斉金属錯体を触媒に用いた不斉選択重合により、高次構造が精密に制御された機能性高分子材料の合成を達成することである。平成24年度は、光互変性不斉金属錯体の合成を試みた。 不斉配位子としてビナフチル骨格およびサレン骨格に着目した。ビナフチル基とサレン骨格を組み合わせた不斉金属錯体を触媒に用いることで、キラルなエポキシ化合物の不斉選択重合が可能であることがすでに報告されている。そこで、光互変性化合物であるアゾベンゼンを有するこれに類似した構造の触媒の合成を試みた。現在までに、ビナフトールの水酸基の保護反応やそれに続く置換基の導入反応および脱保護反応、シクロヘキサンジアミンの保護反応とそれに続くビナフチル基への導入反応、ビナフトールへの光互変性化合物の導入などを試みているが、化合物の安定性の問題などにより、いまだに最終目的物の合成が達成されていない。そのため今後は、他の合成経路の模索、あるいは化合物の再分子設計などを行うことで、触媒合成の達成を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は、新規な光互変性不斉金属錯体の合成と、それを利用した不斉選択重合による機能性高分子材料の合成である。平成24年度は、不斉触媒の合成と光照射による触媒の不斉構造のスイッチング能を評価することを目的として実験を行った。しかし、現在までに光互変性化合物を置換基として導入した触媒の合成が達成できておらず、他の合成経路を模索中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、第一に触媒の合成経路を模索し、光互変性不斉金属錯体を合成することを目的とする。その後、合成した不斉金属錯体の光照射による不斉構造のスイッチング能を評価する。加えて、本触媒を用いたエポキシ化合物の重合反応を行い、その触媒能・不斉選択能などを評価する予定である。
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Research Products
(3 results)