2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規光互変性不斉金属錯体を触媒に用いた不斉選択重合による機能性高分子材料の開発
Project/Area Number |
12J02181
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
酒井 直哉 北海道大学, 大学院総合化学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 不斉触媒 / ビナフチル基 / 金属錯体 / 不斉選択重合 / アゾベンゼン |
Research Abstract |
高次構造が制御された高分子には低分子では達成不可能な特異な性質を有するものが数多く存在する。タンパク質・多糖・DNA等の生体高分子が有する分子認識能や特異的触媒作用がその好例である。これらの性質は生体高分子が持つ光学活性中心と官能基の立体配置が正確に規制されることではじめて発現される。そのため現在、合成高分子の分野において分子の立体構造を精密に制御することが極めて重要な課題とされている。本研究の目的は、光互変性の置換基を有する不斉触媒を設計・合成し、重合可能なモノマーの不斉選択性が可逆的に変化(スイッチング)可能な重合系の開発および合成した光互変性不斉金属錯体を触媒に用いた不斉選択重合により、高次構造が精密に制御された機能性高分子材料の合成を達成することである。平成25年度は、光互変性不斉金属錯体の再合成を試みた。 初年度に得た知見を元に、ビナフチル基にサレン骨格を導入した不斉金属錯体の合成経路を検討した。光照射による異性化能を有するアゾベンゼンの導入に向けて合成経路を再検討したが、化合物の安定性の問題などにより、いまだに最終目的物の合成が達成されていない。そのため、他の構造を検討する必要性も示唆された。今後は、異なる光互変性化合物の導入や異なる不斉場の構築をも考慮に入れ、化合物の再分子設計や他の合成経路の模索を行い、金属錯体触媒の合成を達成する予定である。続いて、不斉重合へと展開する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は、光互変性不斉金属錯体の合成と、それを利用した不斉選択重合による機能性高分子材料の合成である。本年度は、触媒構造の再設計と合成を達成する予定であったが、現在までに目的の錯体を得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、光互変性不斉触媒の配位子と成り得る化合物を合成することを第一の目的とする。代替案として、ビナフチル基以外の他の組み合わせの光互変性配位子も視野に入れる。その後、光照射による不斉構造のスイッチング能を評価し、不斉重合等の不斉反応系へと発展させる予定である。
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Research Products
(6 results)