2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J02210
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 結花 岡山大学, 大学院・環境生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2012 – 2013-03-31
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Keywords | 女王フェロモン / シロアリ / 社会性昆虫 / 繁殖分業 |
Research Abstract |
真社会性ハチ目やシロアリ目に見られる不妊カーストがどのように進化したのか。これは、ダーウィンの自然選択理論における最大の難点であった。ハチ目は半倍数性であり、血縁度に雌雄非対称性が生じるため、血縁選択説によって社会性の進化を説明することが出来る。一方、シロアリ目は倍数性である故に血縁選択説による社会性の進化を説明できず、真社会性シロアリ目の存在は、血縁選択だけでは説明しきれない部分を浮き彫りにしている。シロアリの真社会性はハチ目の真社会性とは全く独立に進化したものであり、シロアリの研究が進むことによって、昆虫における社会性の進化を総合的に理解することが可能になる。候補者は真社会性昆虫の最大の特徴である繁殖分業に着目し、以下の研究を行った。 これまでに、二次女王の分化を抑制する女王フェロモンの成分がヤマトシロアリにおいて特定されていた。本研究では、シロアリの女王フェロモンにおける種間交差活性試験を同属7種のシロアリ(R. speratus, R. amaminanus, R. miyatakei, R. yaeyamanus, R. okinawanus, R. flavipes and R. virginicus)を用いて行った。その結果、ヤマトシロアリR. speratusの女王フェロモン成分は近縁の2種(R. amamianusと、R. miyatakei)においても女王分化を抑制する効果を持ち、これら2種ではヤマトシロアリと同じ成分が女王フェロモンとして利用されていることが示唆された。さらに、他の同属他種に対する抑制効果の有無と種間の系統関係から、フェロモンの分化は単に系統学的な要因だけではなく、生態学的な要因の両者から影響を受けていることが示唆された。 本研究は、女王フェロモンの種間交差活性に対する初めての報告であり、女王フェロモンの進化過程を理解する上で重要な知見となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まとまった研究成果が出ており、国際学術誌に発表する準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度で、特別研究員を中途辞退する為、今後は本研究課題を中断する。
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Research Products
(5 results)