2012 Fiscal Year Annual Research Report
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12J02212
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金井 駿 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 電界誘起磁化反転 / 垂直磁化容易 / コバルト / 鉄 / ホウ素 / 酸化マグネシウム / 磁気トンネル接合 / スピントロニクス |
Research Abstract |
電界誘起磁化反転を可能にする微細なデバイスの作製法の確立・電界誘起磁化反転の実証:〈内容〉磁化方向をデバイス中で一様にするため接合サイズを数十ナノ・メートルまで微細化した磁気トンネル接合素子を、電圧減衰の少ない導波路中に組み込んだ構造を作成した。素子加工条件や磁性層の膜厚、熱処理条件を明らかにし、室温で強磁性体の磁化容易軸方向を電界によりスイッチする磁気トンネル接合素子の作製方法を確立した。高周波電界を印加し、磁化反転を起こすと同時に、磁化状態を測定するための測定系を構築し、電界誘起磁化反転を実証した。印加する電界の大きさを変化させることにより、磁化反転周期が変化することを発見した。磁化反転をアシストする、外部面内定常磁界の大きさを変えることにより、制御性よく磁化反転が可能な外部磁界条件を決定した。計算機実験により、磁化ダイナミクスをシミュレートし、実験結果を再現した。実験結果を再現する条件から、電界誘起磁化反転時のデバイス・パラメータと、それに必要な条件を明確にした。磁気円二色性を放射光に応用し、磁性原子のフェルミ・エネルギ近傍の電子状態密度を精度よく測定可能な、エックス線磁気円二色性の測定を行った。磁気異方性の電界効果測定用デバイスに用いるコバルト・鉄・ホウ素と酸化マグネシウム界面の磁気状態、特に電子の磁気モーメントの定量的な測定から、界面に存在する磁気異方性の起源は鉄-酸素間の化学結合に起因し、コバルトは垂直磁気異方性に殆ど寄与しないことを突き止めた。〈意義・重要性〉電界による磁気異方性変調を介して制御性よく磁化反転を実証した例は1グループによる先行研究があるだけであり、垂直磁気トンネル接合デバイスでの実証は世界初である。本年度明らかにした、制御性よい磁化反転が可能なアシスト磁界の範囲は、産業応用上重要である。また、この接合系において、元素別に磁気異方性の大きさを実験により定量的に見出した例は過去になく、実験的に磁気異方性の起源が特定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
垂直磁気異方性の電界による変調(磁気異方性の電界効果)と、それを利用した磁化反転(電界誘起磁化反転)、更にその物理的起源の解明を目的として申請した研究のうち、平成24年度(1年目)で、40%を達成することを目標として取り組んだ。今年度、研究全体の約50%を達成し、進捗は順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に引き続き電界による磁気特性の変調量の向上を進め、制御性の良い電界誘起磁化反転を実現するための試料作製条件を検討する。また、電界印加に伴う磁区構造の変化や電界印加時のFMR測定から得られる磁化ダイナミクスの情報を反映したシミュレーションを行うことで、デバイス・パラメータ及び電界印加シークエンスの最適化をさらに進める。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Observation of boron diffusion in an annealed Ta/CoFeB/MgO magnetic tunnel junction with standing-wave hard x-ray photoemission2012
Author(s)
A. A. Greer, A.X. Gray, Shun Kanai, A. M. Kaiser, S. Ueda, Y. Yamashita, C. Bordel, G. Palsson, N. Maejima, S.-H. Yang, G. Conti, K. Kobayashi, Shoji Ikeda, Fumihiro Matsukura, Hideo Ohno, C. M. Schneider, J. B. Kortright, F. Hellman, and C. S. Fadley
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Journal Title
Applied Physics Letters
Volume: 101
Pages: 202402-1, 4
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] RECENT PROGRESS OF PERPENDICULAR ANISOTROPY MAGNETIC TUNNEL JUNCTIONS FOR NONVOLATILE VLSI2012
Author(s)
Shoji Ikeda, Hideo Sato, Michihiko Yamanouchi, Huadong Gan, Katsuya Miura, Kotaro Mizunuma, Shun Kanai, Shunsuke Fukami, Fumihiro Matsukura, Naoki Kasai, Hideo Ohno
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Journal Title
SPIN
Volume: 2
Pages: 1240003-1, 12
DOI
Peer Reviewed
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