Research Abstract |
P92鋼の多軸応力条件下における寿命のごく初期からの損傷形態の実験的把握を目的として, 厚さ1インチで25%のサイドグルーブを付与したC(T)試験片および環状切欠き試験片を用いて, 高温クリープ途中止め試験を実施した. 本研究で使用した25%のサイドグルーブを有するC(T)試験片においては, 試験片のリガメント面においてき裂は一様に成長せず, サイドグルーブ近傍で優先的に成長することが示された. 環状切欠き試験片については, 破断の直前までき裂は発生せず, 巨視損傷形成過程としては, ボイドの発生, 成長, 連結が主たるものであった, また, DCPD法による電位差変化と平均ボイド面積率の関係から, DCPD法は巨視き裂成長のみならずボイド等の損傷形成も捉えることが可能であることが示された. さらに, 硬度測定の結果から, 硬度低下は寿命のごく初期から生じているため, ボイド損傷よりも早い段階から比較的簡便に損傷を計測できることが明らかになった. また, 解析においては, 3次元直交座標系および軸対称円柱座標系における応力誘起空孔拡散解析手法を確立し, C(T)試験片と環状切欠き試験片へ適用して, 3次元的な微視クリープ損傷形成挙動の解明を行った. C(T)試験片のリガメント面上では, 切欠き先端とサイドグル一ブ底の角点で最も空孔濃度が高くなり, サイドグルーブ近傍で優先的にき裂成長する実験結果とよく一致した. 環状切欠き試験片についても, 空孔濃度分布が実験結果であるボイド面積率分布とよく一致しており, 空孔濃度の高い領域でボイドが形成されることが示された. 以上の結果から, 3次元応力誘起空孔拡散解析はクリープき裂成長やクリープボイド形成挙動の予測に有効であることが示された.
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