2013 Fiscal Year Annual Research Report
長波長非線形重力現象から探る初期宇宙物理の理論的観測的研究
Project/Area Number |
12J02236
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高水 裕一 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | インフレーション / Non-Gaussainity / 初期密度揺らぎ |
Research Abstract |
インフラトンの正体を解明する上で、重要となる長波長非線形揺らぎの進化について、特に三点相関量の解析の研究を行ってきた。具体的には、インフレーション中にインフラトンよりも重い場が存在すると仮定すると、興味深い三点相関(Non-Gaussianity)を示す現象モデルの提案をした。昨年公開されたPLANCK衛星のCMBデータによると、Non-Gaussianityは大きさとしては極めて小さく、原始揺らぎはほぼガウス分布に従うことが明らかとなった。しかし、波数空間で細かくみると局所的なNon-Gaussiantiyは依然観測から許されている。この重い場のモデルは二点相関量の解析で既に、ある波数領域に局在したピークのあるスペクトル(featureという)を示すことがわかっていたので、この三点相関量の解析ができると、将来的な観測データの詳細解析から波数空間で同様の特徴的なスペクトルを見つけることで、インフレーションの物理に大きな進展を与えることができると考えられる。研究によってインフラトンと重い場に、運動項の結合がある場合に大きなCMBfeatureを示す可能性があることが明らかとなった。また同様のfeatureを示す揺らぎの音速が変化するモデルの研究も行った。また観測面でのデータ解析の研究も同時に進めており、現在ケンブリッジ大学のPLANCKチームと共同研究をして、PLANCKデータを用いて局所的なCMB featureがdetectできるかの研究を行っている。通常、三点相関は波数空間で三角形の形を決めて、Non-Gaussianityの定量化を行っていたが、これを仮定せずにNon-Gaussianityを直接求める手法をとっている。この解析により、波数空間のある領域においてピークを示す期待していたfeatuteが確認され大きな成果を得た。これは従来知られていた二点相関のfeatureに対応した波数に対応しており、非常に興味深い。しかしこの解析では、二点相関のfeatureの影響でなく純粋な三点相関のfeatureを示しているのか、未だ不明瞭なところがあり現在解析の改良を行って、研究を遂行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究にとって重要な観測データの公開の時期と重なり、研究の進展、方向性に多少の計画変更があったが、最新の観測データにそった理論モデル、観測データ解析の研究などを行うことできおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、観測面では現在のデータ解析を仕上げるとともに、理論面では、本研究課題の中で取り上げ、昨年完成させた我々の定式化を用いて、その応用例を具体的に研究し、計画を遂行していく予定である。
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Research Products
(2 results)