2013 Fiscal Year Annual Research Report
変分法的アプローチによる非線形楕円型方程式と拡散方程式の研究
Project/Area Number |
12J02259
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
生駒 典久 東北大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 非線形Kirchhoff型方程式 / 非局所効果 / 疑集解 / 最小エネルギー解 / 固有値問題 / Willmore 汎関数 |
Research Abstract |
平成25年度は以下の3つのテーマに関して研究を行った : (1)非線形Kirchhoff型方程式の定常問題の解析. (2)完全非線形楕円型作用素に対する固有値問題の解析. (3)3次元Riemann多様体上におけるWillmore汎関数の解析. (1)非線形Kirchhoff型方程式の特徴の1つとして非局所効果があり, 解析をより困難なものにしている. このような非線形Kirchhoff型方程式の定常問題を考え, 主に次の2つのことについて研究を行った : (i)凝集解(spike解)の存在, (ii)最小エネルギー解の存在. 先行研究と比べるとより一般的な状況下において解の存在を示し, 証明方法も先行研究とは異なる. ここで用いた議論は非線形Kirchhoff型方程式に対して新たな見方を提供するものであり, 大変重要なものである. (2)完全非線形楕円型作用素の固有値に関する特徴付けとその性質について考察をした. ここでは, 主固有値だけではなく, 一般の固有値に関しても優解, 劣解を使った特徴付けを行った. また, 解の符号に応じて外力の符号も変化するような方程式の可解性についても固有値を用いて議論した. 一般にこのような方程式に対して可解ではあるものの一意性が成立しない例も発見し, これらの結果を意義深いものにしている. (3)3次元Riemann多様体に埋め込まれたClifford torusと曲面積を保つMöbius変換により球面へと退化させたClifford torusのWillmore汎関数の値を, 曲面積が0の近傍において展開し第一次の係数を決定した. この展開は, 曲面積一定の下, Willmore汎関数のtorus型の臨界点を見つけるときに重要な役割を果たす展開である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非線形Kirchhoff型方程式に関しては, 当初の計画以上の成果を得ることができた. 一方, 連立非線形Schrodinger方程式系に関しては計画よりも遅れている. その代わりに解析方法として共通点のある(Lyapunov-Schmidt reduction method) Riemann多様体上のWillmore汎関数の解析を大いに進展させることができた. これらの観点より上の自己評価を下している.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは, Riemann多様体上のWMmore汎関数における解析を完成させたいと考えている. 曲面積一定という制約条件の下でWillmore汎関数の臨界点となる曲面を見つけるため, Lyapunov-Schimitd reduction methodとClifford toursのエネルギー展開式, Morse理論等を用いて解析を行う. そのために, 来年度(平成26年度), 共同研究者であるA. Malchiodi教授の下を訪ねて議論し, この研究を完成させたい. 次に非線形Kirchhoff型方程式の定常問題に関する研究も行う予定である. 最小エネルギー解の存在を示した際に用いた議論をより発展させ, より一般的なポテンシャル関数の下での正値解の存在を考察する. この研究が完成した後は, 外力項を付けた方程式を考察し, 正値解の多重存在について議論したいと考えている.
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