2012 Fiscal Year Annual Research Report
隔世家族のネットワーク構造と福祉政策のあり方に関する研究
Project/Area Number |
12J02271
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
張 継元 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 隔世家族 / 高齢 / 農民工 / 孫育て |
Research Abstract |
今年度はこれまでの研究成果を発表し、日本の隔世家族・孫育てに関する研究、次の調査のための準備を行った。 まず、これまでの研究成果をもとに、第22回日本家族社会学会大会と第85回日本社会学会で日本語で口頭発表を行った。日本社会学会で報告した内容をもとに、投稿論文を作成し、『家族社会学研究』に投稿した。また、さらに分析したものを10S-IASA 4thd Joint Workshop(台湾中央研究所と東大東洋文化研究所共同ワークショップ)にて英語で口頭発表を行った。 これまでの研究成果の発表のほかに、日本の隔世家族や孫育てについて、内閣府が実施された「高齢者の健康に関する意識調査」のデータを分析した。その結果、隔世家族が存在するが、65歳以上の高齢者のなかでわずか1.5%ぐらいであることがわかった。また、孫育てをしている日本の高齢者の性別、階層、世帯構成などの特徴を明らかにし、健康などとの関連も検討した。また、韓国の隔世家族についても日本語の文献をもとに検討した。その結果、日本や韓国の隔世家族は中国の隔世家族と性質があまりにも大きいことが分かり、当初国際比較の視点も検討したが、中国の隔世家族を詳細に分析する方針を固めた。 また、JGSS2000-2008のデータを利用し、日本の介護制度と育児政策が人々のケアの社会化意識に与える影響を分析し、社会政策が人々の社会化意識を促進することを確認できた。これは中国の家族政策を論じる際の一つの参考になる。 隔世家族をネットワークの家族として見る場合、これまでの行われた研究は農村に残された高齢者と児童のみ検討してきた。より全体的に隔世家族を検討するために、都市に行った農民工の家族も調査する必要がある。そのため、次の調査のために、北京で農民工の家族に対してプレ調査を行い、フィールドの候補地を決めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究成果の発表は次の課題の発見や分析枠組みの洗練につながり、日本の孫育ての祖父母世帯への考察は国際比較の可能性を検証し、日本のケアの社会化意識の研究は家族機能が弱体された家族の対応に関連している。これらの研究によって、理論的な枠組みと対照事例の検討が進んでいると考える。また、実証的な部分については、プレ調査を実施し、次の本格的な調査の準備を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
実証の部分は、今年度から来年度にかけて、概ね4回の調査を通じて、農村に残された高齢者と児童、都市に行っている農民工の家族への質的調査を行う。 家族の分析はこれまでの家族戦略の視点、ネットワーク論、ライフコース論のアプローチで分析することにしたいと考えている。また、最近注目されている家族政策の議論を整理し、その枠組を利用して、福祉政策の議論を試みたい。
|
Research Products
(2 results)