2013 Fiscal Year Annual Research Report
隔世家族のネットワーク構造と福祉政策のあり方に関する研究
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12J02271
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
張 継元 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 隔世家族 / 高齢者福祉 / 扶養 |
Research Abstract |
今年度は文献レビューと現地調査を中心に実施してきた。 まず、2011年に調査を実施した河北省濮陽市河村で隔世家族の追跡調査を行った。2年を経ったのち多くの隔世家族は高齢者のみの世帯に戻り、祖父母世代も徐々に身体が衰え、高齢者扶養のニーズが高まったことが分かった。隔世家族が児童福祉に寄与するものであるが、果たして高齢者福祉にどう影響するのかという疑問も生じた。 また、これまで隔世世帯の高齢者を調査対象としてきたが、親世代への考察が不足している指摘に対して、2013年7月に北京農民工調査を実施した。この調査を通じて、親世代は依然として祖父母世代を扶養する意識が強いが、実現しにくい現実に直面していることがわかった。 隔世家族のなかで、児童福祉と高齢者福祉の二つの問題が最も重要な課題であり、家庭内資源が児童に集中する中、高齢者福祉問題が軽視されがちであり、特にポスト隔世家族時期になると、高齢者福祉問題が顕著になってくる。そのため、ポスト隔世家族の福祉問題、つまり孫が巣立ち、高齢者のみの世帯に再び戻った後の高齢者福祉問題はいかに対処できるのかという課題に注目していきたいため、2013年7月に河北省の互助幸福院モデルを調査した。現在の中国農村の高齢者の扶養問題が高齢者間の互助によって解決を求めようとする試みを考察することで、農村高齢者福祉の実態、高齢者福祉政策の問題点を分析したい。 河北省の「互助幸福院モデル」のほかに、吉林省の「大院モデル」、浙江省など経済発達地域モデルなどが注目されているが、吉林省、浙江省への調査も試みた。この二つの地域については調査に至っていないが、調査協力者と連絡を取れ、調査の準備が整った。この三つの地域に対して、比較可能で洗練した調査計画を企画してから、最終的な研究成果に導きたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査が進んでいるが、発表できるレベルになっておらず、今年度の学会発表と投稿がなかったため、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
調査準備が整ったため、今年度の前半に調査を実施し、後半にデータ分析し、理論的分析枠組みも検討し、報告書・論文の完成を目指す。
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