2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J02274
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高橋 萌子 千葉大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 自明なソースをもつ加群 / 相対射影被覆 / スコット加群 |
Research Abstract |
有限群のモジュラー表現論において関心を集めているブルエ予想を考える際に、自明なソースをもつ加群を多く知っていると役立つことがある。また、直既約加群の相対射影被覆は、自明なソースをもつ加群と密接に関係している。相対射影被覆に関するヘラー作用素を考えることによって、同じヴァーテックスをもつ直既約加群を沢山与えることができ、非常に有用である。上記の特殊な性質をもつ二種類の加群について調べ、それらの加群の構造や加群同士の関係、さらには加群の構造から読みとれるブロックの性質を得ることを目標に研究した。 自明な加群の部分群に関する相対射影被覆はスコット加群と呼ばれるが、巡回シロー群をもつ有限群のスコット加群の構造は既に決定している。その一般化として、巡回シロー群をもつ有限群の主ブロックに属する単純加群の相対射影被覆を研究した。主ブロックとは、自明な加群が属するブロックを指す。巡回不足群を持つ有限群のブロックの構造は、ブラウアーツリーによって図式化できる。巡回シロー群をもつ有限群の主ブロックのブラウアーツリーに対して、その端点に現れる単純加群の相対射影被覆は、スコット加群にヘラー作用素を数回施したものであることを与えた。これにより、スコット加群に関する結果を含む単純加群の相対射影被覆に関する結果を得ることができた。また、主ブロックに属するその他の単純加群の相対射影被覆を具体的な有限群について調べ、ブラウアーツリーの端点に現れる単純加群と同様にスコット加群と密接に関係している事実を得た。これにより、主ブロックにおけるスコット加群の特異性と重要性を再認識できた。 また、部分群に関する相対射影被覆の一般化として加群に関する相対射影被覆が考えられるが、加群に関する相対射影被覆についての先行研究から本研究への応用が得られないか考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
一般の単純加群に関する相対射影被覆の予想が誤っていた為。主ブロックに属する単純加群の性質を、自明な加群との関係に拘らず、より直接的に利用しなければならなかった。 また、12月から研究中断を申請し、研究期間が短くなった為。
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Strategy for Future Research Activity |
部分群に関する相対射影被覆の一般化として加群に関する相対射影被覆が考えられるが、加群に関する相対射影被覆の方が扱いやすいことがある為、これを利用する。主ブロックに属する単純加群の自明なソースをもつ加群に関する相対射影被覆を調べ、部分群に関する予想がどこまで成立するのか検証する。 また、主ブロックのみではなく、巡回不足群をもつブロックに属する単純加群の相対射影被覆についても研究を進める。その際、スコット加群と部分的に類似する性質をもつ加群に着目する。
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