2012 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブネットワークの物理とその応用に関する研究
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12J02317
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 朋 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | カーボンナノチューブ / CNTネットワーク / 複合材料 / Thin Film Transistor / 透明薄膜電極 |
Research Abstract |
当該年度はカーボンナノチューブ(CNT)ネットワークの厳密なモデル化のため、定量的な特性の解明及びデバイス作製(Thin Film Transistor)を行ってきた。 CNTネットワークはCNTの特性を活かしつつ、高い生産性を実現できるが、電気的特性の定量的な理解がなされていない。そこで様々なサンプルにおける電気的特性を明らかにする必要がある。本年度はプレス加工CNTネットワーク及びCNT Buckypaperの電気伝導特性について明らかにした。 プレス加工CNTネットワークは、紫外線硬化樹脂を用いたCNTネットワーク透明電極である。CNTネットワークの抵抗がCNT-CNT接合で定まることより、紫外線硬化樹脂を用いたプレスによりその接合幅を狭めることで、低抵抗化を目指した。導電率温度特性の測定結果より、光透過率は93%程度のまま、室温でのシート抵抗が2000Ω/sq.から200Ω/sq.まで減少したことが確認できた。またその際に確かにCNT-CNT接合幅が減少していることも確認された。これは透明薄膜電極への応用が期待できる値である。 BuckypaperはCNTのみからなる薄膜状の結合体である。これまで比較的分散率の低いCNTネットワークの電気的特性を明らかにしてきた。そこでCNTの密度の伝導特性への影響を調査した。導電率温度特性より、密度の高いCNT集合体では伝導機構が「CNT-CNT接合」及びグラファイトに近い電子状態となっている「CNT自体の抵抗」両方で決まることが明らかになった。 またCNTネットワークをチャネルとしたThin Film Transistorの試作も並行して行った。これはシリコンチップ上にバックゲートにCNT分散液を滴下し、バックゲート型のFETを作製するものである。現在CNT滴下条件等最適化を行っている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
デバイス作製がまだできておらず、モデルとの比較ができていない。一方でこれまでに得られた知見からCNTネットワークの低抵抗化に成功するなど、応用への道筋が立ってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
早急にTFTを作製し、モデルとの比較を行う。これは分散技術を持つ共同研究者とのディスカッションを行いつつ進めていく。その後誘電率、導電率のモデルへと応用し、CNTネットワークの電気的特性の厳密なモデル化を行う。
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Research Products
(3 results)