2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J02394
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
髙原 豪 大阪大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 診療報酬制度 / 病院間競争 / 非対称情報 / 水平的差別化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトは, 診療報酬制度やその周辺領域についてミクロ経済学の理論(主に産業組織論・契約理論等)を応用し制度設計分析を行うものである. 本研究プロジェクトでは, 以下の2研究を行った. 第1に, 患者のコストに関する情報が非対称である場合において(病院には観察可能であるが,保険者には観察不能), 病院が診療拒否を行い得る場合の最適な診療報酬制度(出来報酬制度と定額報酬制度の比較)について分析を行った. この研究結果によれば, 特定の状況下(例えば, 診療拒否を行える私立病院の数が多いとき, 診療報酬の支払いコストが小さいとき, 高コストの患者の割合が少ないとき)においては, 患者の診療拒否を行わせるような診療報酬制度(固定報酬制度)を採ることによって社会厚生が改善することを示した. 平成25年度においては, 国内の学会・研究会において2回報告を行い, 海外の学会・研究会において1回の報告を行った. その際に得られたコメントを基に論文の改訂を行い, 平成25年12月にディスカッションペーパー(大阪大学社会経済研究所発行)として研究成果を公表した. 第2に, 水平的に差別化された病院(例えば病院の立地が異なる場合)が治療の質に関して競争を行っている場合の最適な診療報酬制度について研究を行った. ここで, 病院は利他性に関して異質性を持っているものと仮定する. この仮定は, 例えば公立病院のような地域に医療サービスを提供する役割を持った病院と, 私立病院のような金銭的な利潤を最大化するような病院とが競争を行っている状況を分析するためである. このような状況においては, 診療報酬を高くしすぎると, 過剰な水平的差別化を行う可能性があるということを示した. 平成25年度においては, 国内の研究会で1回の報告を行い, 現在論文の改定を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請当初の研究計画とほぼ同じ研究の進捗であるから.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度以降は, 以下の研究を行う予定である. 第1に, 上で述べた非対称情報下の診療拒否問題の研究プロジェクトを学術誌に投稿し, 差読者のコメントを基に更に論文の改訂を行う. その後, 学術誌に掲載されるまで論文の投稿を行い続ける. 第2に, 上で述べた病院間競争の研究に関して国内外の研究会・学会で研究報告を行い, 論文の改訂を続ける. そして, 平成27年度中にディスカッションペーパーとして研究成果の公開をする. 第3に, 病院間競争の研究から派生した研究プロジェクトとして, 混合寡占市場で水平的・垂直的競争を行っている状況における最適な補助金政策, 価格規制問題について研究を行う. 第4に, 医療用医薬品(患者が使用するにあたって医師の処方箋を要する医薬品)の広告に関する研究を行う. 現在の日本においては, 医療用医薬品を一般消費者に対して広告を行うことは禁じられているが, 米国や欧州の一部の国においては許容されている. この広告規制の制度設計に関する研究を行う.
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Research Products
(2 results)