2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J02489
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
上道 茜 筑波大学, システム情報工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超希薄燃焼 / 燃料選択遡上 / 数値計算 / レーザー誘起蛍光法 |
Research Abstract |
高効率かつ安定な燃焼に関する研究は代替エネルギー開発と比較してより早く・低コストで実現出来るだけではなく、その効果も非常に大きい。なかでも旋回流を利用した燃焼は、希薄可燃限界よりもさらに燃料濃度の低い「超希薄」条件での燃焼を可能にすると考えられる。本研究の目的は、3種類の燃料に対して超希薄燃焼の可能性を探るとともに、旋回超希薄予混合火炎の物理的解明を行うことである。その結果、回転対向流双子火炎モデルを用いた詳細化学反応計算より、旋回流を伴う場合、燃料にメタンあるいは水素を用いた超希薄燃焼が可能になった。最大で50%の燃料削減に貢献できる可能性がある。また、支配方程式から求めた流束バランスを求めることで、これらの燃焼メカニズムを明らかにすることができた。ここでは、拡散による燃料成分の選択的輸送が観察され、これを「燃料選択遡上」と名付けた。これまでの燃焼機構の常識を覆すインパクトのある発見であるといえる。また、軸対称二次元旋回火炎モデルについて数値計算および実験を行い、それぞれで超希薄燃焼を達成することができた。また、実験では、燃焼の契機になる重要な化学種であるOHラジカルの濃度計測を行った。計測にはレーザー誘起蛍光法を用いた。これらの火炎構造は、先述した回転対向流双子火炎モデルから得られたものと同様であり、この場合にも燃料選択遡上によって燃焼が強化されていることが示唆された。すなわち、同じ条件になる系を実用燃焼機器に導入することができれば、燃焼範囲を超希薄条件まで拡張できると考えられる。これは、化石燃料の枯渇問題を解決するひとつの施策になるだけではなく、世界的な燃料価格高騰へ一石を投じることができる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で目的とした、旋回流を伴う燃焼におけるメカニズムについて分析を行い、クリアに説明することに成功した。回転対向流双子火炎を用いた数値計算は完了し、研究成果を学術論文への発表を控えている。しかしながら、軸対称二次元旋回火炎モデルを用いた数値計算のデータ数が不足している。また、実験における燃料濃度の限界をさらに詳しく調査する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、軸対称二次元旋回火炎モデルを用いた数値計算および実験のデータを多く得ることを主眼に研究を遂行する。 今後1四半期で軸対称二次元旋回火炎の数値計算について回転対向流双子火炎と同様の解析を行い、燃料選択遡上が起きていることを確認する。2-3四半期では、レーザー誘起蛍光法および粒子画像速度法を用いたOHラジカルおよび流束の平面空間分布を求める。4四半期では、これらの内容を論文にまとめることに注力する。
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Research Products
(5 results)