2012 Fiscal Year Annual Research Report
省エネ輸送機器軽量化材料の準高ひずみ速度・高温面内反転負荷試験システムの開発
Project/Area Number |
12J02531
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
乃万 暢賢 東京農工大学, 大学院・工学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 温度依存性 / ひずみ速度 / FEM / 材料モデル / バウシンガ効果 / 引張/圧縮非対称性 / 材料試験 / 高張力鋼板 |
Research Abstract |
板材のプレス成形において、形状凍結不良や割れなどの成形不具合を高精度に予測するためには、計算で用いる材料構成式の高精度化が必須である。そのためには精緻な材料試験法が重要である。特にプレス成形における典型的な変形様式である曲げ・曲げ戻し変形では、材料は面内で圧縮および反転負荷を受ける。したがって実際の成形に近い条件で板材の圧縮・反転負荷特性を測定することが必要である。板材を長手方向に圧縮できる試験機は世界で4例あるが、いずれも静的かつ室温で使用する試験機である。実際のプレス成形では材料は0.1/s以上の速いひずみ速度で変形を受ける。さらに近年適用の拡大が進む高張力鋼板では、自身の加工発熱によって成形品の温度が100℃近くに達する場合がある。そのため、温度による変形特性変化を考慮したシミュレーション技術の実用化が求められている。 本研究では、材料応答に及ぼす温度の影響を明らかにするために、加熱機構を有する面内反転負荷試験機を製作した。試験機側面にヒータ(カートリッジヒータ,Watty製)を取り付けて試験片を加熱する。試験機は本研究室で製作した面内反転負荷試験機[Kuwabara et al.:Int.J.Plast.,25(2009),1759-1776]と同様の機構を有するが、加熱や高速変形を実現するため、新たに専用の試験機を製作した。また、接触式ひずみセンサでは高温下で使用することはできないため、新たに画像測定によるひずみ計測システム(ARAMIS,GOM社製)を導入した。何例か単軸引張試験を行い、その結果、供試材の温度が上がるに連れて塑性流動応力が低下する温度依存性を確認した。今後、得られたデータから、材料の自己発熱を考慮できる材料モデルを開発し、成形試験と成形解析を行いモデルの妥当性を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では8月までに試験機を完成させる予定であったが、予定通り滞り無く試験機を組み立てることができた。また、当初はひずみ速度を上げた試験から行う予定であったが、計画を変更し温度を上げた試験から行った。そして、単軸引張状態における供試材の温度依存性を確認することができた。以上のことから、本研究は概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は面内圧縮試験及び反転負荷試験を行い、供試材の引張1圧縮の応力非対称性ならびにバウシンガ効果に及ぼす温度の影響について実験的に調査する。合わせてひずみ速度を変えた試験を行い、引張1圧縮の応力非対称性及びバウシンガ効果のひずみ速度依存性を調査する。 また今後、面内反転負荷試験より得られたデータ(供試材のバウシンガ効果)から、材料の自己発熱による温度依存性及びひずみ速度依存性を考慮できる材料モデルを開発する。バウシンガ効果に及ぼす温度の影響を表現するために、背応力の発展式に温度依存性を組み込む。開発したモデルをFEM解析に組み込み、成形試験と成形解析を行い、開発した材料モデルの妥当性を検証する。
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Research Products
(4 results)