2012 Fiscal Year Annual Research Report
HSP72相互作用解析に基づいた新規腫瘍マーカースクリーニング法の開発
Project/Area Number |
12J02543
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
田中 昌子 大阪市立大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | プロテオミクス / 腫瘍マーカー / 熱ショックタンパク質 / 多発性骨髄腫 |
Research Abstract |
近年、熱ショックタンパク質72(HSP72)が腫瘍特異抗原と結合したまま、細胞外へと放出されることが報告された。そこで、本研究では血中のHSP72と結合する分子の中から、多発性骨髄腫腫瘍マーカーを探索することを目的とした。1年目の計画は、HSP72インタラクトーム法を新しいマーカースクリーニング法として確立させることである。 1.血中HSP72複合体の単離 アルブミンや免疫グロブリンといった血中の夾雑タンパク質の中からHSP72複合体を単離するため、オリジナルの抗HSP72モノクローナル抗体を9種類作製した。これらの抗体を用いたアフィニティービーズを作製することで、血中のHSP72と結合する微量タンパク質を選択的に濃縮した。また本手法は、多段階に及ぶ前処理を必要とせず、精製時間を大幅に短縮(約1時間)することができた。 2.患者血清特異的に検出されるタンパク質の同定 腫瘍マーカー候補となるタンパク質を探索するために、患者血清特異的に検出されるHSP72結合タンパク質を同定した。多発性骨髄腫患者4例、および健常者4例の血清からHSP72複合体を単離後、SDS-PAGEにて分離、銀染色した。患者と健常者で大きくバンドパターンが異なる30kDa以下のタンパク質をゲルショットガン法にて質量分析計で測定した。比較解析の結果、患者特異的に検出される44のHSP72結合タンパク質を同定した。 3.マーカー候補タンパク質の抽出 2で患者特異的に同定されたタンパク質が骨髄腫細胞由来であるかを検討するために、骨髄腫細胞株2種、およびその培養上清のHSP72結合タンパク質のプロファイルと比較解析した。その結果、患者血清中に存在し、かつ骨髄腫細胞株または培養上清に発現が確認できた4つのマーカー候補分子を選抜し、多発性骨髄腫腫瘍マーカーとして特許出願に至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多発性骨髄腫腫瘍マーカーの候補分子を4つ同定し、特許出願に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の研究は、同定されたマーカー候補分子の確証実験を中心に行い、腫瘍マーカーとしての妥当性を検討する。 1.疾患特異性を評価 慢性骨髄性白血病など他の血液疾患患者血清に含まれるHSP72結合分子のプロファイルと比較し、マーカー候補4分子が多発性骨髄腫特異的であるかどうかを検討する。 2.MRM解析による比較定量 評価する多発性骨髄腫患者血清を30例に増やし、マーカー候補4分子を相対定量することで、マーカーとして臨床応用の可能性が高い分子を選抜する。 3.ELISAによる候補分子の血中濃度測定 マーカー候補4分子に対し、それぞれEHSAキットを作製し、候補分子の血中濃度を測定する。患者30例および健常者20例について定量することで、マーカ7候補分子の腫瘍マーカーとしての妥当性を検証する。
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Research Products
(6 results)