2012 Fiscal Year Annual Research Report
ボランティア実践を支える要因の解明 -日本モデルの実証的構築-
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12J02553
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三谷 はるよ 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ボランティア / 全国調査 / 地域調査 / 計量分析 |
Research Abstract |
1.学会誌への発表 (1)単著論文の発表(「ボランタリー・ケアラーは誰なのか?」→『フォーラム現代社会学』掲載) :鈴木広が提唱したボランティア的行為における「階層的二相性(Kパターン)」仮説が現代日本社会に適合するのかを、最新の全国調査データを用いて計量的に検討した。分析の結果、KパターンではなくΛ(ラムダ)パターンの成立を見出し、福祉社会学に新たな実証的知見を提出した。 (2)共著論文の発表(「大阪府民の政治・市民参加と選挙に関する社会調査」の調査記録→『年報人間科学』掲載) :大学院生を主体とした調査であっても、様々な工夫を凝らすことで一定程度の質・量をもった地域データを得ることが可能であることを示し、量的調査を今後企画する院生・教員への参考資料を示した。 2.学会発表 (1)国際学会での発表("Changesin the Determinants of Volunteering between 1995 and 2010 in Japan"→『全米NPO学会(ARNOVA)第41回大会』にて発表) :ボランティア活動への参加と社会階層・地域的文脈の関連の動向を、2つの全国調査データによって計量的に検討した。「ポスト阪神大震災期」(1995年~2010年)の間に、社会階層が参加に与える影響が弱まり、町内会・NPOの豊富な地域性が参加に与える影響が強まっているという新たな知見を提出した。 (2)国内学会での発表(「社会化によるボランティア行動の形成プロセス」→日本社会学会第85回大会にて発表) :幼少期における他者を支援するロールモデルの存在が、成人したときのボランティア・NPO活動への参加に影響するかを、社会化理論を枠組みとして全国調査データによって検討した.これまで日本人のボランティア行動に対する社会化効果が検討されたことはなかったが、その効果は相対的に大きいことを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本人のボランティア実践を支える要因の実証的解明という目的に対し、本年度は時代変化、階層性と地域性、社会化など多元的な要因の影響を捉える研究を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
学会や研究会において発表した研究知見を論文としてまとめ、学術誌に投稿する。とくに、「社会化によるボランティア行動の生成プロセス」と「多元的宗教性がボランティア行動に与える影響」を主題とした論文の学術誌掲載を目指す。
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